No.451:会社は考え方で出来ている~父と後継者の息子、その関係が変わった瞬間~

№451:会社は考え方で出来ている~父と後継者の息子、その関係が変わった瞬間~

建設業S社長から相談がありました。
「次回のコンサルティングから息子を同席させたいのですが。」
数か月前に息子さんが、修行先から帰ってきたことは聞いておりました。
 
私に断る理由はありません。
事業承継と後継者育成のことを考えれば、良い機会になるはずです。
 
次のコンサルティングから、その場の雰囲気は一気に変わりました。
父は本音を隠すようになりました。
そして、その息子は、どこか父のやり方を「古い」とみなしている感があります。
人と人との関係は、身内ほど難しいものです。
 
あれから一年が経ちます。その後、お二人の関係も大きく変わりました。


この世の全ては、誰かの考え方によって出来ています。
この部屋の壁紙は誰かによって選ばれたものです。このパソコンも誰かが設計し、誰かが考えた製造ラインによって作られています。
いま、目に見えているものの全てが、誰かの考え方によって出来ているのです。
 
それは、会社も例外ではありません。
我々の会社も、会社にあるすべてのものも、誰かの考え方によってその形を成しています。
それは社長であったり、管理職者であったり、一般社員であったりしますが、誰かが選んだ結果が「今」の会社なのです。
 
会社とは、考え方の総合体であり、共有体なのです。
そして、この先会社が、繁栄するか衰退するかも、その考え方次第なのです。
 
そのため、会社の根幹である考え方を軸にしている会社は、当然強いことになります。
 
そこでは、構成員に対し、考え方の説明があり、目標や行動の依頼があります。
経営計画発表会、月々の会議、顧客の選定の基準、給与や手当の意味、そのすべての場で考え方の共有があります。手間がかかっても、その共有を行います。
行動の前に、必ず、考え方の共有があるのです。
 
その結果、構成員のモチベーションは、全体的に高く保たれることになります。
日常的に、彼らは自分で判断できることが多くなります。また、問題に気づくことも、改善案を出すこともできます。
考え方を示し、行動をする、そして、改善する。そのサイクルにより、組織全体の信頼残高は積み上げられていきます。
 
考え方に軸がない会社は、やはり弱くなります。
そこでは、社長や管理者からの考え方の説明が絶対的に不足しています。マニュアルを見ても、目的や意味の記載がありません。方針を伝えられることもありません。
構成員の理解も納得も弱いので、モチベーションは全体的に低いのです。
日々、彼らは仕事では無く、作業をすることになります。臨機応変に動くこともできなければ、業務の改善を考えることもできません。
考え方を理解できず、行動を依頼される、そして、改善できない。そのサイクルの中で組織全体の信頼残高が積み上がることはありません。
殺伐とした無気力の空気が流れることになります。


S社長との、仕組みづくりが始まりました。
コンサルティングの場では、しっかり考え方をお伝えします。そして、そのために必要な仕組みを作っていきます。
半年もする頃には、成果が出始めました。
 
会議の場で、社員が発言するようになりました。
管理者が社長に、提案を持ってきます。
社員の退職が止まります。
そして、採用する社員のレベルが上がり、社員を短期で戦力化できるようにもなります。
売上げも伸び始めます。
 
これが、すべて同時に起き始めます。
同時にです。
 
会議の仕組み、管理者を機能させる仕組み、採用した社員を育てる仕組み、そして、売上げをあげる仕組み、これらは別々につくっていきますが、全てを繋げて作っていきます。
そのため、効果は同時に起きてきます。
 
何かが出来ておらず、何かが出来ているということは無いのです。
会議で社員が発言しないのに、管理者が機能することはありません。
社員が退職していっているのに、採用できる社員のレベルが上がることもありません。
くどいようですが、必ず同時に起きるのです。
 
そこでは、仕組みという媒体を通じ、多くのものが繋がるのです。
人と人、そして、考え方と考え方の繋がりが生まれます。
その結果、会社としての考え方が固まり、そして、その共有が進むことになります。
社員同士で、より本質的なコミュニケーションが取られるようになり、社員の手によりその考え方自体を改善するというサイクルが回されるようになるのです。
 
会社という場では、「より考え方が昇華する成長」と「組織内の信頼残高が積み上げられること」になります。そして、組織全体が規律と闊達さで満たされることになります。
 
非常に掴みどころの無い話ですが、それが間違いなく起きるのです。


この過程で、息子さんが加わりました。
コンサルティングの場に、最初はギクシャク感が生まれましたが、3ケ月もするうちにそれは無くなってきました。
 
コンサルティングの場で、考え方の共有をすることで、「父がなぜそのようにしているのか」が解ってきたのです。
 
それまでは、父のやることが理解できませんでした。
「営業の場で使う提案書を再度整備しよう」
「毎週会議を開くようにしよう」
「このシステムは一旦使うのをやめ、エクセルに戻そう」
 
S社長も、例に漏れず、社員に対し説明の苦手な社長でした。
その社長の号令を、社員は「朝令暮改」と受け取っていました。
その社員の中に、息子さんもいました。彼も、「また、社長が何か言いだした」と思っていたのです。
 
この場に参加することで、社長の考えていることが解るようになってきました。また、「古臭い」と思っていたことが、大いに理にかなっていることも解ったのです。
 
その後、息子さんは変わりました。
社長の号令の裏で、社員に積極的にその狙いや意図を説明するようになりました。
また、社長の替わりに、自分で方針やマニュアルなどの文章を書くようになったのです。
 
会社における社長と息子でのミーティングの場も増えました。S社長も、何かの方針や施策を決める時には、その考え方を共有することに努め、そして、意見を求めるようにしたのです。
 
会社が変わる過程で、父と子の関係も大きく変わっていたのです。
 
 
息子さんがトイレのために席を立った時にS社長が言われました。
「彼が、こんなにしっかり考えているとは思いませんでした。ありがとうございます。」
 
そして、父が席を立った時に、息子さんが言われました。
「父がこんなに立派な経営者だったことに気付けました。今はホントに尊敬しています。」
 
美しいものを見させていただきました、
この瞬間に立ち会えたことを本当にうれしく思います。
 
私の力ではありません、
お二人の会社を良くしたいという共通の思いが、そうさせたのです。
そして、お二人とも成長をされたのです。
これは、必然だったのです。
 
 
会社は考え方でできています。
その考え方は、人と人との関係のなかで、昇華していくものなのです。
 
構成員と、考え方を共有するようにする。
そして、彼らが、考え方について話し合いができるようにする。
 
多くの会社は、これにより変貌を遂げるのです。

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