No.80:仕組みをつくるとは、嫌々でもやらざるを得ない状態をつくること

「矢田先生、仕組みをつくるってどういうことですか?」
ある食品加工の会社での打ち合わせ、
そこで、その工場長(女性)から出た質問です。

コンサルティングも7か月目だったので、今更訊きづらいという表情です。
実は、この質問は、非常に多いものです。
仕組みついては、働く人すべてが恩恵を受けているのですが、自分がつくる側にいないと見えないのが仕組みというものです。

矢田は、理解してもらうために、あえて強い表現で説明をさせていただいております。
「仕組みをつくるとは、嫌々でもやらざるを得ない状態をつくることです」
 
人は素晴らしいものです、
人には、情熱があり、想像力もあり、
何かを作り出したり、相手のことを思い先回りで行動を起こすこともできます。
それとは逆に弱点もあります。
人は、忘れます、怠けます。
決めた事をやらなかったり、忙しかったりすると後回しにします。

この人間の弱点を前提として、
「仕組み」をつくっていきます。


 
その工場長のために、身近な例を挙げました。
 
あるスーパーマーケットAのトイレ清掃の仕組みについて
 
トイレは、お客様にいつも気持ちよく使用していただくために、定期的に確認が必要です。
そこで、そのスーパーでは、2時間に1回の頻度で清掃とトイレットペーパーやゴミ箱などのチェックをすることを決めました。

 
そこでその店長は、担当スタッフに指示を出しました。
「2時間に1回 清掃とチェックをしてください」と。

 
1週間後、こういう状態になりました。その日の担当スタッフにより、清掃の実施がされないこともあるようです。
 
その日の担当スタッフが、責任感があり自分でしっかり管理できる人の場合は、定時にしっかり実施されています。しかし、無責任な担当や、忘れっぽい担当の時は、実施されないことがありました。
特にお客様が集中する夕方の忙しい時間や、スタッフが不足する日には、実施されていませんでした。

 
そこで、トイレ清掃&チェックの管理表を作成し、各トイレの出入り口の壁にその週の分を貼ることにしました。
その管理表には、10時、12時、14時、16時、20時と欄があり、清掃とチェックを終えたら、そこに実施者のサインを入れるようにしました。

 
これでかなりの強制力を持つようになりました。
 
担当のスタッフは、必ず各場のトイレに行かなければいけません。
もし行っていなければ、サインがないことで明るみになります。
サインがあったとしても、汚れていたり、トイレットペーパーが無いままであれば、決められていることをしていないことも判明しやすくなります。これによりほぼ実施が徹底されるようになりました。

 
そして、数か月後にまた別の問題が発覚しました。
 
トイレの掃除&チェックは実施されているが、姿鏡に子供の手垢がべっとりとついたままであったり、トイレットペーパーが無くなったままであったりと、掃除箇所やチェックすべきことが漏れていることもあるようです。
たまたま忘れてしまうスタッフもいれば、そもそも掃除やチェックするという認識がなかったスタッフも多くいました。

 
そこで再度この管理表を改良しました。
 
掃除と確認をする項目を記載し、サインとともに、それぞれに記録(チェック記号)を入れるようにしました。
 
□個室(トイレットペーパー)
□小便器
□床面
□手洗い場
□エアー水切り
□ゴミ箱
□姿鏡

 
この対策により忘れや怠けによる漏れがなくなりました。


と、長い例えでしたが、これが仕組みで考えるということです。
(スーパーマーケットやホームセンターなどに行ったらぜひ見てください、このようなチェック表がトイレの入り口付近に貼ってあります。)

間違っても、次の日の朝礼で再度通達して終わりにしないようにします。「皆さん、忙しくても2時間に一度のトイレの清掃をお願いします!」と!
これではいつまでも経ってもされることはありません。
そして、忘れたころに再発することになります。


他にもこういう例があります。
食品加工の加工場で「食中毒の防止のために、手洗いを徹底すること!」と朝礼などで、頻繁に伝えても、人の意識に頼っている以上徹底されることはありません。 
そこで仕組みをつくります。2時間ごとに大きな音のベルが自動で流れるようにしました、ジリリーーー
そのベルが鳴ったら全員が手を洗うこと、これによって、手洗いを徹底することができます。

 
人間の弱点面での特性は、
・怠けます・・・めんどくさい、忙しいから、汚れていないから
・忘れます・・・うっかり、思い込み、他に集中していると後回し
・流されます・・・あの人がやっていないから、上司が見ていないから
これが人間です
この人間の特性が、問題を引き起こします。
この人間の弱さを前提に仕組みをつくっていきます。


「仕組みをつくるとは、嫌々でもやらせる状態をつくること」

人の意識や人間性に頼らない

「しっかりやるように!」
「気を付けるようにしてください!」
と口で言う、という対処をしないようにしてください。

これをしている以上、組織(多くの人間)を使って
儲けることはできません。

 

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