No.84:1社依存の売上・・・偶然の10億より、仕組みで得た必然の1億を狙え

売上には、良い売上と悪い売上があります。
 
い売上とは、「狙った方法で上がった売上」のことを指します。
構築した仕組みやマーケティング、宣伝広告から繋がり、上がった売上すなわち、必然です。
 
この売上には、再現性があります。同じことを同じように行えば、それだけの売上が期待できます。また、それゆえに、課題を発見し改善もどんどんすることができます。
 
そして、その仕組みで売上を上げられることが確信できた時点で、より大きな経費を投じ、宣伝強化による集客や営業担当を増員して、拡大を図ることができます。
 
逆に悪い売上とは、「狙った売上でない」売上を指します。
今現在の取引先の業績が上がった、業界全体の景気が良くなった、取引先の業績が上がるとは、その取引先が売ることに何かしらの策を講じた場合や、新たに店舗を増やした結果です、
これは「偶然」に上がった売上です。


 
工務店(飲食店のデザインから施工管理)の社長からの相談内容です。 
・4期前は年商4億、その3年後(1期前)には年商は8億に急成長
・その要因は、取引先の1社が、急激に店舗を増やしたこと
・それまでは、顧客数は15社ほどあったが、その1社の仕事が沢山入るようになり、全体の売上に占めるその顧客の割合も高くなった
・その時期(直近1期前)には、年商8億のうち、6億がその1社
その急な成長に当初社長は喜んでいましたが、徐々に不安になってきた、とのこと。それでも、1社との取引のため、効率もよく、どんどんこなすことができました。
 
そして、ある日、その取引先から今後の方針が出されました。
『今後は複数の会社からの提案を受け、総合的に検討し発注先を決定する』
その規模になれば、きっとその顧客である飲食店には、多くの同業からの営業のアプローチがあったことは容易に想像がつきます。
また、その規模で、いつまでも社長つながりの1社に仕事を慣習的に出すわけにはいかなくなります。
その社長も、対抗策として、かなり無理をした金額を出すのですが、必死に仕事を奪いに来る他社には勝てません。
その工務店の年商は、一挙に2億までに下がりました。


これが悪い売上の典型です。
取引先の売上が、たまたま伸びただけです。
運が良かったのです。自社では何もやっていないのです。
 
世の中には、このような形で、ごく限られた取引先や1社の売上比率が高すぎる企業が多くあります。
・下請工事が主な工務店
・部品メーカーに納める製造業
・大手のシステム会社の開発請負
そんな会社の損益を見ると、「親」会社からは、どこも生かさず殺さずの状態で使われていることが解ります。
そして、その1社の取引の割合が大きくなればなるほど、力関係は益々弱くなります。

行き着くところは、ほとんどその会社にとってのいち部門のようになっています。(本当のいち部門なら簡単には切れないからまだマシです)
このご時世では、その「親」会社もぎりぎりです、
ですからこの形では、絶対に儲かるはずはありません。「親」会社としても儲からせてやる必要もありません。
そして、先の工務店のように、取引先の方針の変化によって大きな影響を受けることになります。
顧客の都合で、「増産」、そのために設備投資せよ!
顧客の都合で、「減産」ともなります。
 
「売ることを無くす」という合理化を自社の経営戦略として選んだのですから、この形について文句を言う権利はありません。
「売ること」という経営のなかでも一番難しく、コストも手間もかかることを、自社ではやらないという決断をした、その代わり、「つくること」を優先したのですから。
これは、ギャンブルと同じなのです。
賭けなのです。
その取引先が伸びるほうに賭けた
そして、その取引先が儲かった際には、自社にも十分な分け前をくれる。
それもかなりリスキーな賭けです。
ギャンブルでは、必ず元締めが一番儲かるように出来ています。 
特にこれからの時代は、さらに厳しくなります。


「売ること」を自社でしないということは、会社の存続を人任せにすることを意味します。
それも絶対に儲からない、最終的にはいつでも切ってください、という条件付きです。
営業担当が仕組みで動かせていないのであれば、その会社も同じです。その営業担当が辞めれば、大きな被害がでます。コントロールされていない、仕組みで上げられていない売上げを、悪い売上という表現を使います。
その状態で慣れきった企業の社長にとっては普通でも、自社で売ることに真剣に取り組んでいる企業からすると「狂気」に映ります。
自社の存続のコントロールを放棄したようなものです。
まともな神経の社長であれば、夜寝られなくて普通です。
 
売上を仕組みでつくること、狙ってつくることに取り組んでください。
全体の売上のうち、偶然の10割の会社が、売ることに真剣に取り組み、努力して偶然9割、必然1割にすることができた、その1割が本当の価値ある売上です。
 
先の工務店の社長は、現在4年前の年商4億まで回復しています、現在は、よく眠れるとのこと。
 
偶然の10億でなく、必然の1億をまずは目指すと決めてください。

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