No.127:管理者に期待通り動いてもらう、ゼネコンの外注業者の使い方から得たヒント

「部長なんだから、もっとしっかり管理を・・・」
「課長なんだから、みんなをまとめ・・・」
 
管理者として、役職が付いたからと言って、すぐ翌日から能力が上がるわけではありません。
中身は、昨日と変わりありません。
怒ることも理不尽ですが、それで問題が解決するわけでもありません。


会社に存在する多くの仕組みは、大きくこの2つのためにあります。
ひとつは、『期待を伝える』ために、
もうひとつは、『その期待が守られているか確認する』ため、です。
 
新規に採用されたスタッフに、行われるオリエンテーションは、我社で守ってほしい態度や就業規則について伝える場です。
そして、配属先では、マニュアルによって、作業手順を伝えられます。
そして、それを、1か月目、2か月目に評価し、再度それを本人に伝えます。
 
経営計画書発表会では、会社としての戦略、方針と目標を伝え、社員に協力を依頼します。
そして、各部門には、今期達成してほしい目標を伝えます。
毎月の会議では、その進捗具合と来月の行動という期待を確認します。
 
職場の朝礼では、その日の作業予定や、前日の不良やその対応などが通達されます。
また、そこで、服装や顔色などのチェックもします。
 
会社のすべてにおいて、『期待』が存在します。
『期待』とは、我社の基準であり、品質であり、完成形となります。そして、その期待が守られているか、維持されているかを『確認』します。
これにより、会社という組織が機能的に動き、狙い通りの商品を生み出し、顧客を満足させることが出来るのです。


私がゼネコンで従事した施工管理の仕事とは、この「期待」と「確認」の繰り返しでした。
ゼネコンは設計や計画などの「構想」を行います、そして、その実現のためのすべてを外注業者に依頼します。
そのため、外注業者にその通り動いてもらい、その通り実現をしてもらうことが重要になります。
 
1社の業者に対し準備する書類は下記のものがありました。
・完成図面:達成してほしいイメージを持ってもらいます
・特記仕様書:工事の方針や注意事項
・資材一覧 ・作業エリア ・工程表 ・現場ルール&注意事項
 
現場ルール書には、下記のようなことが書かれています。
・朝礼には、安全帯、ヘルメット等、その日の作業する服装で参加すること
・現場場内での車両走行は、10キロ以下を厳守すること
・近隣の方には、笑顔で挨拶すること
 
これを持って、外注業者と打ち合わせを行います。
最低でも、1業者1時間はかけます。そして、現場作業員が入るときには、ルールだけは直接説明することをします。
 
これにより、現場の秩序は維持され、安全に作業がされ、よい構造物ができるのです。
 
そして、これにより、業者を三つに判別することが出来ます。
1.依頼したことができる業者 2.依頼したことプラスアルファができる業者 3.依頼したことができない業者
 
そして、3の依頼したことができない業者に対し、再度事務所に来てもらい、書面をもって伝えることを行います。
その上で、3の業者への「確認」を強化します。
やってもらわなければ、工事全体の進捗に大きな影響が出ます。できなければ、また、期待を伝えるだけです。
 
これをゼネコンの厳しさと評する人がいますが、それは大きな間違いです。
プロフェッショナルな業者ほど、こういうゼネコン職員に対しては、信頼と礼節を持ってくれます。逆に、これをいい加減にするゼネコン職員に対しては、不信感を持ちます。
 
これにより、お互いに仕事がやりやすくなります。


管理者が動かない、機能させたいのであれば、まずはこの「期待」をしっかり伝えられているか、伝わっているかどうかを確認することです。
どんな会社でも、外注業者を使う時には、打ち合わせをします。
その仕事が、大きなものであるほど、打ち合わせの時間や頻度は増えます。そして、必ず書面を準備します。
 
これと同じことを管理者にもする必要があります。
・どんなことをやってほしいのか ・どんな目標を達成してほしいのか ・どんな態度をとってほしいのか
それにより、管理者は初めて、自分が何を期待されているのかが解ります。
自社の中核を担ってほしいのであれば、打ち合わせや書面での期待を伝えることは必要となります。少なくとも、外注業者並には。
 
打ち合わせもしない、書面も準備せずに、役だけ付けて動いてくれ、では、その管理者が力を発揮できるはずはありません。そして、後から注意を受ける。
これをゼネコン職員がやれば、間違いなく業者から見切られます。
 
管理者に任命すると、すぐに能力が高まるわけではありません。
管理者に任命すると、自然にその役割を理解することもありません。
 
管理者をいち人間と考え、いちパートナーと考えるのであれば、お伝えください。
それが、社長として人を使い、目的を達成するプロフェッショナルとしての仕事です。

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