No.268競合が現れた!そこにある本当の問題とは、競合の存在でなく、〇〇の認識が社長自身にないこと。

№268:競合が現れた!そこにある本当の問題とは、競合の存在でなく、〇〇の認識が社長自身にないこと。

H社は、広告制作会社として、年商1億円を十年間彷徨ってきました。
着手してからちょうど一年、いまでは月商3千万円にまでなっています。
 
そのH社長からメールが届きました。
「矢田先生、競合が現れました。」
そのメールの文章から焦りが伝わります。
 
競合先のホームページをみると、社員数50名、営業所も複数あります。今の社員数名のH社では太刀打ちできる相手ではありません。
 
市場規模が大きいだけに、競合が複数出てくることは予測していました。それでも、実際にそれが起きると焦るものです。
そして、この時の「社長」が、その後の成否を大きく分けることになります。


新しいビジネスには、競合はいません。他社は気づいていません。
そのため、最初は静かにそのビジネスを展開します。販促ツールやスタッフを動かすための仕組みの準備をすすめます。そして、いよいよというタイミングで、大きく展開に移ることになります。
 
スピードを持って、実行をしてきます。精度よりも実行です。そして、できるだけ多くのシェアを取りにいきます。目指すはナンバー1のシェアです。
 
その時に、考えなければならないことは、『どのシェアでナンバー1を取りに行くのか』ということです。その市場すべてを取りに行くのか、それともその市場を分割したものを取りにいくのか、を考える必要があります。
 
その市場規模が小さければ、その全体を取りに行くことはできます。そのサービスを世に認知させるまでが勝負です。最初のシェアを取った者が勝者になります。借金をしてでも、販促をかけます。初期の囲い込みのために採算度外視のディスカウントも有りです。
 
その市場が大きい時には、分割した市場を取りにいきます。「〇〇業界に特化した○〇システム」、「〇〇での支払いができる〇〇サービス」。
大きい市場は、大手が取っていきます。彼らは、その潤沢な資本により販促、設備、提携先活用という、勝者だからこその戦略を行います。我々は、そこには目もくれません。その多くを、「くれてやります」。一部の顧客から圧倒的な指示を受ける市場(サービス)でのナンバーワンを取りに行きます。
 

・大手が乱立する自動車保険会社に対し、ネット自動車保険が攻勢を掛けました。そして、後発の40代50代専門の自動車保険がでました。
・個人に対し、買取と販売をする総合リサイクル大手。その市場を、釣り道具専門、カメラ専門など、の専門系が削っていきます。
 
経営をする時に必要となるのは、『今我社は、どの市場を取りに行っているのか』という認識です。この認識を明確に持っているからこそ、全力でその市場をとりに行けるのです。
 
市場やそのターゲットとなる顧客の脳内の一番が占領できています。
「40代50代専門の自動車保険があったな」
「カメラ専門の買取のほうが高く買ってくれるのでは」
その市場を取り終えると、ご褒美が待っています。
 
それから次のステージに移ることができます。後続企業があれば、つぶしにいきます。相手を常に監視し、新しいキャンペーンなどの取組みを丸パクリします。
 
そして、その資源(金、ノウハウ、仕組み)で、次の市場を狙いに行きます。「ゴールド免許専門の自動車保険」、「シャネル専門の買取」などを考えていきます。そこでも、考えることは、「次はどんな市場でナンバー1を取るか」になります。
事業とは、シェア取り合戦なのです。


この明確な目標(方針)を見失うと、次のような状況に陥ることになります。
・ホームページから引合いが来ます。その引合いすべてに答え、すべてを取りに行こうとします。
・その結果、雑多な顧客、雑多なサービス、雑多な業務が増えてきます。(減らすために事業を絞ったはずが)。いつのまにか、案件漬けの日々に戻ってしまいます。
・唯でさえ少ない資源(金、社員数)が分散します。
・「社員を採用しても育つのが遅い」という状態になります。そして、今いる社員の負担が大きく成り、離脱が起きます。
 
そして、そのうちに市場に変化が起きます。
・競合が現れます。自社のメニューや料金表が丸パクリされます。
・顧客に、その競合と比べられて、負けることが多くなります。
 
それでも、来る案件をこなそうとすると
・どれも中途半端になります。いつのまにか、その事業に特色は無くなっているのです。結果、どの市場においてもシェアと呼べるものが残っていません。
 
このようなサイクルで、中小企業のアイディアが、より大きな企業のシェアという最高の資産に変わっていきます。彼らが悪いのではないのです。
次の考えを見失った、我々の力の無さが原因です。
・小さなシェアを全力で取りに行くという目標を持っていない
・競合が来る、から急ぐというスピード感がない。そもそも競合に無頓着。
・事業を大きくするというノウハウがない(仕組みをつくる、組織で取り組む、外注を活用する、など)。
 
 
H社長と次のことを確認させていただきました。
「〇〇の市場だけを全力で取りに行きましょう。」
そのうえで、
「この1年間で、全力でそれを形にする。その上で、出来上がった仕組みと組織で、次の市場を削り取りにいく。」
 
H社長は、すでに落ち着いています。そして、言われました。
「どれもこれも取ろうとしていました。全部を取ろうとして、何も残すことができなくなるところでした。これが、職人社長なのですね。もとの職人社長の発想に戻っていました。」
 
その上で、この先順々に上げていくステージを確認しました。
第一ステージ:この1年間で、〇〇の市場のシェアナンバー1を取りに行く。この時5億。
第二ステージ:次の〇年間で、同様の〇〇を取りに行く。10億。
第三ステージ:20○〇年、〇〇という評判でナンバー1。20億。
 
事業の展開を考える時には、ステージで考えることが必要です。
ステージで考えることで、その時に、それの実現に集中することができます。また、競合の出現や顧客からの新たな要望、友人からのアドバイスに惑わされずに済みます。そして、多くのものを捨てる判断をすることができます。
 
その事業のステージとは、社長自身の人生のステージを考えることにもなります。いま自分はどのステージにあるのか。そして、次は、どのステージを目指しているのか。
 
私は、今40歳である。
この3年間、〇〇というテーマに打ち込もう。
43歳の時には、年商〇億円になっている。
そして、次の3年間(46歳まで)に、〇〇業界で一位になっている。
その次の3年は、海外で事業展開に取組む。
 
ステージを一つひとつ上げていく。
その認識が必要です。そして、雑音に振り回されずに進むのです。
そして、この瞬間、この一年、本当に重要なことに打ち込むのです。
 
その認識とこの邁進が無いと、ステージを上げることはできません。
「多くの目標を掲げながら、どれも中途半端な一年」を毎年繰り返すことになります。そして、その分、歳をとることになります。
 
自分のステージを上げることです。
それが、事業のステージを上げることになります。

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