No.296:どうやったら年商10億いくのか、ではなく、どうして10億いかないのか。を考えるとよい理由

№296:どうやったら年商10億いくのか、ではなく、どうして10億いかないのか。を考えるとよい理由

気づくと独立して20年目に入っていました。
コンサルタントという一つの職業を、「なかなかの期間頑張ってきたな」という思いと、「これだけの期間をかけてやっとここまでか」という思いがあります。
 
私は、専門を「年商10億円」と謳っています。これを言い換えれば「事業を大きくする」となります。
 
日々、クライアントや相談に来られる方からは、「うちの会社は、どうやったら事業を大きくできるのでしょうか?」と訊かれます。
 
実は、その時、私は違う視点で考えています。
「御社は、どうして大きくならないのですか?」


一つの事業で年商10億円に行くためには、次の二つを満たす必要があります。
 
一つは、「儲かる事業であること」。
儲かっていなければ、それ以上の投資をすることができません。サービス向上のための研究、人材の獲得、業務改善の取組み。これらは、すべて儲かっている、すなわち、利益がでているからこそできることです。
 
二つ目は、「大きくなる事業であること」となります。
事業が「儲かっていること」と「大きくなること」は、イコールではありません。世の中には、儲かってはいるが、大きくならないという会社がごまんとあるのです。大きくなるための条件を満たす必要があります。
 
年商10億円にいくために、どちらかだけではいけません。「儲かる事業であること」そして「大きくなる事業であること」。どちらも満たす必要があります。世の経営者は、「儲かる」ということに視線が向きやすい傾向があります。
 
儲かっている具合を示す指標が、「粗利率」となります。または、「営業利益率」です。率というだけに、儲けの効率を表しています。他には、資本運用率もあります。投資や銀行取引の場では、これらの率を重視する傾向があります。
 
これを「大きくなる」という視点で見たときには、「粗利高」をみることになります。粗利高が、前年比どれぐらい伸びているかが一番の感心ごとになります。営業利益高は、気にする必要はありません。展開を急ぐために広告宣伝費にどんどん投入をしています。システムなどの仕組みに、先行して投資をします。そのため、営業利益が残ることはありません。
 
 
「儲かる事業」には、絶対に満たすべき条件があります。同様に、「大きくなる事業」にも、それプラスの絶対に満たすべき条件があります。
その条件を早く知り、早く獲得した分、事業は発展していきます。また、その社長の人生は、豊かで楽しいものになります。世のビジネスでの成功者と同じ視点に立てるのです。
 
「儲かる事業」の条件については、世の中に多くの参考となる書籍があります。また、税理士や銀行も気にしてくれます。逆に「大きくなる事業」の条件は、書籍も少なければ、説明できる人も多くはありません。その分、社長は「大きくなる事業」の条件を、特別視して学ぶことが必要となります。


私は、この「大きくなる事業」の条件の獲得のお手伝いをしています。世の多くの社長は、「大きくなる事業」の条件というものに、触れたことがありません。また、いままでに出来上がった思考パターンを持ちます。
 
その思考パターンは、「職人社長の発想」や「小さい会社の経営」です。その思考こそが、これまでの成功の要因です。しかし、この先に進むためにはそれでは圧倒的に不足しています。それどころか、足を引っ張ることにもなります。それゆえに年商数億の規模での停滞となっています。
 
年商10億に行くためには、その考え方を変えていただく必要があります。そのため、私は、敢えて厳しい表現を使うことになります。
「年商数億の経営の延長に、年商10億はありません。」
「複雑化がもっとも高くつきます。捨てるものを選んでください。」
「相手合わせのビジネスで大きくなったところはありません。」
「仕組みのない会社に、社員教育は全くの無駄です。」
多くの社長は、その言葉に驚くのです。変えるためには「驚き」が必要なのです。
 
長い時間をかけて出来上がった思考パターンを変えることは、そう簡単ではありません。その大変さゆえに、私は「個別コンサルティング」という時間も手間もかかる方法を選ぶに至りました。
 
ポイントを説明し、自社の事業に置き換えディスカッションします。持ち帰り何度も検討し、文章にまとめてもらいます。それに対し進言をします。そして、修正します。その繰り返しです。そのプロセスによって思考が置き換わっていきます。
 
本を読んだぐらいで変われるなら、もっと多くの企業が大きくなっているはずです。実際に、世の中の法人の約99.7%は中小・小規模事業者なのです。超えているのは、1000社のうち3社という割合になっています。


私は、十数年前に、このデータを見ました。当時はただの「経営コンサルタント」を名乗っていました。そして、考えました。
「なぜ、多くの会社がこの規模で止まるのだろうか。なぜ、大きくならないのだろうか。」
 
その理由を、このデータ元である中小企業白書を読んでも見つけることができませんでした。中小企業の抱える課題上位3つは、「営業力・販売力の強化」、「人材の確保・育成」、「販売価格引上げ、コストダウン」とあります。これらは、大きくならない理由には、全く当てはまらないことはすぐに解りました。
 
そして、相談に来られた社長を前にしても考えます。
「なぜ、この方の事業は、年商10億に行かないのだろうか?」
「なぜ、このビジネスは小さいままなのだろうか?」
 
そのうちに、社長の視点と違うことに気づきました。社長は、「どうやったら年商10億に行くのでしょうか?」と、訊いてきます。
 
「どうやったらなれるのか」も「どうしてならないのか」も、どちらもよい問いであることは間違いありません。
 
しかし、「どうしてならないのか」のほうが、原因究明のニアンスは強くなります。そして、思考は要素分解(明確化)に向かいやすいのです。
 
あれ以来、「どうやったら」の質問を、すべて置き換えるようになりました。
 
・どうやったら、社長は現場を離れられるのか?
 
これを、変えます。
・なぜ、社長は現場を離れられないのか?
 
すると、要素分解が始まります。
「社員ができないから」
「なぜ社員はできないのか?」
「自分で考えられないから」
「なぜ社員は考えられないのか?」
「会社の方針が解らないから。それと、いままでどうやってきたか解らないから。」
「方針書が必要」、「マニュアルが必要」。
と繋がってきます。
 
これが「どうやったら、社長は現場を離れられるのか。」のまま考えると、思考が拡散するのです。
「社員をもっと活躍させる」、「社員の能力を上げる」、「彼らに任せる」。
スムーズに「会社の方針やマニュアル」には、繋がらないのです。
 
 
私は、そんなことを20年近く繰り返してきたわけです。
その結果として、今の「事業を大きくする」という専門性を得るに至ったのです。
 
そして、その「なぜ、なぜ」は、今も続いております。
今日も、クライアントや相談に来られる社長が新しい「なぜ」を提供してくれます。
 
 
まとめ
・年商10億には「儲かる」プラス「大きくなる事業の条件」が必要。
・社長は、思考のパターンを変革する必要がある。
・「なぜできないのか」と考えると、思考はスムーズに要素分解に向かう。
・矢田:自分の「なぜ」の追求が、皆様のお役に立てていることが幸せ。

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