No.436提供するものは良くても、顧客満足が低い。その時に確認すべきこととは。

№436:提供するものは良くても、顧客満足が低い。その時に確認すべきこととは。

この日は、不動産関連サービスを展開するN社長との面談です。
年商10億コンサルティングを終えてから、4年が経っています。
 
事前に送られてきた決算書を拝見すると、十分な利益を出しており順調なようです。
しかし、N社長の表情は、明るくありません。
「先生、本当なら今期で10億行くはずだったのです。この2年でまた、成長が止まってしまいました。」
 
私は、お聞きしました。
「何が原因か、解っているのですか?」
 
N社長は、首をひねり、答えます。
「以前と変わらず、間違いなく良いサービスを提供できています。実際に、お客様が満足する成果を出しています。しかし、リピートが殆ど無いのです。」


社長は、次の2つを作る力を持つ必要があります。
それは、「コンテンツ」と「プロセス」です。
 
コンテンツとは、物や中身という、そのつくられるモノそのものです。
それに対し、プロセスとは、そのモノをつくる過程を指します。
 
このプロセスを作るのが苦手とするのが、年商数億社長の特徴です。
 
年商数億社長は、アイディアが浮かぶと、すぐに動き出します。新しい商品、新しいツールをすぐにつくります。そのスピードは素晴らしいのです、そして、その出来も良いのです。
 
しかし、社員がそれに付いて来ていません。彼らの心や理解は完全に、置き去りになっています。その結果、それら素晴らしい成果物は、実際には使用されることがなかったり、定着するまで時間がかかり過ぎたり、しています。
そして、その後の改善や更新が社長に残ることになるのです。(その多くは放置状態)
 
コンテンツは良くても、プロセスがダメなのです。
 
社員を動かして何かをする、にはこれではダメなのです。
年商数億規模まではこれで良かったのですが、これ以上進むためには、彼らの参画が必要になります。年商10億円という規模に進むためには、社員を巻き込み、組織を動かす力が必要になるのです。それが、プロセスを構築する力なのです。
 
プロセスでの成果が必要です。
そのプロセスによって、社員に理解させ、主体性を持たせ、そして、成長させるのです。
 
完成品としてのコンテンツの出来が良くても、社員が理解していない、社員が他人事、そして、成長しない、では本当の意味での成果ではないのです。
 
その瞬間や短期的には良くても、それでは、会社としての成長はありません。
 
コンテンツとしての成果も出し、プロセスでも成果を出して初めて、次に進む力を持つことになるのです。


これは、対顧客にも当てはまることです。
お客様も、コンテンツの良さはもちろんのこと、そのプロセスの良さも求めます。
 
・その飲食店のつくりは、非常に高級感があり、落ち着いた雰囲気を醸し出しています。そして、料理もおいしいのです。しかし、次の料理が来るまでの時間が空きすぎています。そして、給仕係はその遅れを伝えることも、フォローで飲み物を薦めることもありません。食事中の会話も途切れがちです。
 
・その素晴らしい結婚式に、両家の親族も友人も、大変喜んでくれました。実際に、その料理も演出も素晴らしいものでした。しかし、新郎新婦の心情はそうではありません。この1年の準備期間は、その式場および担当者の対応に振り回されるばかりでした。
 
この両方のケースで、お客様は「不満足」という評価を下しました。そして、知人に紹介することもありません。それどころか、その心情は「恨み」までに育ち、レビューに酷評を残すことになります。
 
コンテンツは良くても、プロセスが悪い、
私は、これが冒頭のN社の「リピートが無い」という現象の原因ではないかと、予測しました。
 
そこで、N社長に確認しました。すると、N社長からは、迷いの無い答えが返ってきました。
「当社の2名の営業マンは、非常に優秀です。そして、この業界の経験者でもあります。全く問題は無いはずです。」
 
しかし、実際の数字を観るとリピートが無いのです。成果を出していながらも、リピートが無いのです。それもこの業界です。満足していれば、同じ顧客が、何度も購入をしてくれるはずです。また、私には「経験者」というところも引っかかりました。
 
 
そこで、私はN社長に、実際のお客様に聴いてみることを強く進言したのでした。
 
ちょうど、サービス提供を終えたばかりのクライアントの中に、N社長の古くからの友人がいました。その友人も経営者です。その彼なら聴きやすいと、N社長はその友人を食事に誘うことにしました。
 
乾杯をして少し時間が経ったところで、N社長は、改めて、自社のサービスの利用のお礼をしました。そして、自社のサービスについてどうだったかを尋ねました。
 
すると、少し酔いも入っていたこともあり、その友人から厳しい言葉をもらうことになりました。
 
「まず、営業担当者から、この先の予定の説明が何もない。こっちは、全体の流れも解らなければ、次に何をするのかもわからない。こちらは素人、もっと説明があってもよいのではないか。」
 
「私は経営者、暇じゃないのだ。早めに次に何を準備するか、教えて欲しいと伝えているのに、数日前に〇〇の書類を準備してくれと言ってきた。」
 
その友人は、酒で喉の渇きを癒します。そして、続けます。
 
「一番怒れたのが、何もかもが口頭での説明であること。書面が無いので、社内や税理士さんへの説明も出来ない。仕組みが大事といつも言っているNの会社とは思えないレベルだ。」
 
N社長にとって、散々な夜となったのでした。
 
しかし、さすがはN社長、素直に反省し、最構築に取り掛かることを決意しました
 
コンサルティングの場で、矢田と一緒に、実際の仕組みを確認します。すると、すぐにその原因が解りました。
まず、プロセスの管理が全くできていません。一つの案件がどのような状態にあるのか、また、次に何をするのか。それが、その営業担当しか解らない状態にあったのです。
 
そして、其々の業務に基準がありません。何の書類を提供するのか、そのタイミングはいつか、それらが決まっていないのです。当然、その時の書類のフォーマットや雛形も明確ではありません。
 
それでも、これまでやって来られたのは、その営業担当者が、「経験者」だからだったのです。それもそこそこ出来の良い経験者です。だから、自分達でなんとかこなせていたのです。彼らは、自然と、自分達の過去の「不動産業」のやり方を踏襲していたのです。その結果、大きなトラブルにはならず、N社長の耳にも入ってこなかったのです。
そして、その彼らのやり方は、N社のサービスやそのお客様には、そぐわないものだったのです。
 
N社長は、言いました。
「先生、私は、サービス型事業の特徴を十分理解したつもりでいました。しかし、実際には、過去の土地売りの感覚が抜けていなかったのです。」
 
サービス型事業の特性の代表格に、次のものがあります。
「サービスは、お客様とつくる。サービスの生産と消費が同時にされる。」
 
その結果、次の問題を抱えることになります。
「社員がサービスを提供する様子を、直接確認できない」
「サービスの品質を維持できない。個人差が大きい。採用した人の戦力化に時間がかかる。」
そして、
「顧客満足を測りにくい」のです。
 
このサービス型事業の特性に対し、N社は、全く対策(仕組化)せずにやってきてしまったのです。その結果としての、十分なコンテンツとしての成果は出しているものの、プロセスとしての成果は出されていなかったのです。お客様満足度は低い状態になっていたのです。
 
それ以上に、N社には、大きな問題がありました。
その根本的な原因の理解なしに、この先はありません。
 
N社長は、それをすでに理解していました。
そして、言われます。
「頭ではプロセスが大事だということは、解っていました。しかし、実際に、全く理解していなかったのです。だから、彼らにまかせっきりで、ほったらかしになっていたのです。いままで、それについて確認することもありませんでした。」
 
社長がプロセスに意識が向いていなければ、社員もプロセスに意識が向かなくなります。
 
N社長は、プロセスの重要性を、本当に理解することになりました。
それも、友人経営者に面と向かってボロクソに言われるというプロセスを踏んだ成果です。
 
 
社長には、2つの成果を出す能力が必要です。
一つは、コンテンツの成果です。
そして、プロセスの成果です。
 
人の頭を動かすのも、人の心を動かすのも、プロセスなのです。
プロセスをつくる力を身に付けてください。
 
プロセスをつくる力を身に付けた時、年商10億円、社員数十名を動かす社長にステージをあげることになります。

●コラムの更新をお知らせします!
 下記よりメールアドレスをご登録頂くと、更新時にご案内をさせていただきます。メルマガ限定の矢田のショートコラムもあります。
 
メールマガジンへご登録いただいた方へ、当社で開催しているセミナーの冒頭部分(約12分)をまとめたセミナー動画をプレゼント中!
ぜひご登録ください。(解除は随時可能です) 

 

メールアドレス(必須)


名前(必須)

 

 

 
メールアドレス(必須)


名前(必須)

 

 

お問い合わせ

 営業時間/9:00-17:00
(土日祝除く)