No.545:やりたいことはあるが手をつけられない・・・焦る社長がすべきこと

№545:やりたいことはあるが手をつけられない・・・焦る社長がすべきこと

朝、クライアントN社長からメールが届きました。
「やりたいことは、たくさんあるんです。でも……手がつけられていません。」
 
N社長は、コンサルティング開始時の厳しい状況から半年で、昨年対比140%まで業績を回復させました。
 
それでもなお、いや、だからこそ、「やらねばならないこと」「進めたいこと」が山ほど見えてきました。
そして、それに“着手できていない自分”に、もどかしさと焦りを感じているのです。
 
この状態が長く続くと、心は削られ疲れ切ってしまいます。
私は、その対策案をメールで送ることにしました。

焦りは社長を疲弊させる


焦りは「やるべきことは解っているのに、動けていない」ところに生まれます。
「やりたいことはある」、「やったほうが良いことも解っている」しかし、それに着手できていないのです。動けていないのです。
そこに自覚があります。そこで自責の念が生まれ、焦燥感が増していきます。
 
これは、意識が高い社長ほど陥りやすい状況です。しかもこの状態が続くと、焦りが疲労を呼び、その疲労がまた動きを止めるという典型的な負のスパイラルを生み出します。
 
この状況を受け入れてはいけません。何としても抜け出す必要があるのです。

焦りから抜け出すための3つのステップ


この状態を打破するには、次の3つの行動が必要です。
 
その① やるべきことを明確にする
やるべきことを「すべてやろう」と思うと、余計に動けなくなります。
まずは“本当に向き合うべきこと”を決めることが必要です。
 
本当にやるべきことを決める、そして、順番を決めましょう。
それが「3つ」であってはいけません。それは「一つ」です。今は手を付けないことを明確にし、「まずはこの一つをクリアする」と割り切るのです。
 
その② 紙に書いてまとめる
くどいようですが、ここでも同じことをお伝えします。「文字にする」ことです。頭の中で考えているだけでは、整理されません。脳内のモヤモヤは、書き出すことでカタチになり、気持ちは驚くほど軽くなります。
 
逆に言えば、「文字にしない」限り、頭がすっきりすることも、気持ちが落ち着くこともないのです。そして結局、焦りに何度も襲われ、また迷いに嵌ることになるのです。
 
その③ 少しでも時間をつくり、手をつける
焦りを断ち切るカギは、「少しでも動く」ことです。1行書く、1スライドを作る、1人にアポをとる――それだけで、心のざわつきは不思議と落ち着きます。「動き出せた」という事実が、安心感と自信を生みます。
 
そのためには、「やる時間」を先に確保することです。週に1回でも、2回でも構いません。予定に「経営の時間」を入れてください。できれば、『朝』が良いでしょう。
 
現場が忙しいほど、時間は勝手には生まれません。そして、時間は何者かにより盗まれていきます。だからこそ、意図的にその時間を“奪い取る”必要があります。まさに奪い取るのです。まずは、その最初の『勝利』を得ることが必要です。

社長自身が動かなければ、何も変わらない


「忙しいからできない」を理由にしていると、半年、1年はあっという間に過ぎていきます。会社の何かが変えられなければ、未来も変わらないのです。
 
会社を変えるには、まず社長自身が「手をつけること」しかないのです。
これに異論を唱える人はいないでしょう。スタートは、いつだって「社長」からしか始まらないのです。
 
そのときに完璧を求めてはいけません。むしろ、完璧主義こそが社長の動きを止める元凶になりかねません。
 
大事なのは、今日、今週、一つでも『勝利』することです。
完了ではなく着手。成果ではなく小さな行動です。
 
その1つの“動いた事実”が、焦りの連鎖を断ち切り、流れを変え始めるのです。

組織にも応用される「成功のサイクル」


社長が「やるべきことを決め、手をつける」このサイクルは、そのまま組織にも当てはまります。
 
強い組織とは、「やるべきことが明確」であり、それに対して「実際に手が付けられている
」のです。逆に、ダメな組織とは「やるべきことが曖昧」であり、「実行もされない」のです。
 
前者は、どんどん変わっていき、どんどん成長していきます。後者は、やはり何も変わらず、組織は疲弊していきます。
 
その第一歩として、社長自身がそのサイクルを獲得する必要があります。それから組織でのそれを獲得することに移るのです。この順番しかありません。

社長としての成功へのスタートはここから


事業家は必ず「忙しい」を経験します。顧客との打合せ、見積もり作成、そして、実際の施工まで。そして、社員同士のいざこざ。
 
そこでの動きで、その後の事業家人生が変わってきます。
やるべきことを決め、それに手をつけるという勝利を、一年間に何日得たかで決まるのです。365日のうちゼロ勝ではやはり何も変わりません。365日の半分でも勝てれば、人生の成功者に間違いなくなれるのです。
 
そのためにも、今日、明日にまずは一勝することです。そして、その勝てた日を一つ一つ増やしていくのです。
 
私は、冒頭のN社長に下記の提言をしました。
「近日中にミーティングを設けましょう。そして、そこで今やるべきことを明確にしましょう。」
その時に人のサポートを受けることも非常に有効です。
 
このステージで「忙しい」を理由にし、手をつけなければ何も変わりません。
「一勝」でもしなければ、この状況が良くなることは絶対に無いのです。そして、月に「数勝」はしないと、会社として先に進めることもできないのです。
やるべき一つは解っています。そうであれば、なんとか時間を捻り出すのです。

提言:まずは5分、机に向かってみてください。


そこに必要なのは「完璧なプラン」や「大きな決断」ではありません。
まずは、今日という日の『勝利』なのです。
 
たった5分でいい。机に向かい、ノートを開いて、いま思っていることを書き出してみてください。頭の中のことを「文字にする」こと。それだけで、焦りは「動き出せそう」という気持ちに変わります。それこそが『最初の一勝』になるのです。
 
思考を整理する時間が持てると、不思議と「動いてみよう」という気持ちが芽生えてきます。そしてその一歩が、社長自身を、会社を、そして未来を前に進めてくれることになるのです。
 
 
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矢田祐二
矢田 祐二

経営実務コンサルタント
株式会社ワイズサービス・コンサルティング 代表取締役
 
理工系大学卒業後、大手ゼネコンに入社。施工管理として、工程や品質の管理、組織の運営などを専門とする。当時、組織の生産性、プロジェクト管理について研究を開始。 その後、2002年にコンサルタントとして独立し、20年間以上一貫して中小企業の経営や事業構築の支援に携わる。
 
数億事業を10億、20億事業に成長させた実績を多く持ち、 数億事業で成長が停滞した企業の経営者からは、進言の内容が明確である、行うことが論理的で無駄がないと高い評価を得ている。
 
 

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