No.546:悪い社員を排除するために、まずは基準をつくること

№546:悪い社員を排除するために、まずは基準をつくること

「うちにもいるんですよ、どうしようもない社員が…」
ある晩、複数の経営者と食事を共にしていたときのことです。
いつの間にか“悪い社員あるある大会”が始まっていました。
 
「指示をしてもすぐ忘れる」「挨拶もしない」「文句ばかりで動かない」――
どの話も、経営者であれば「あるある」と頷いてしまうものばかりです。
 
そんな中、一人の社長が、ふと閃いたように言いました。
「…だから、文字に起こすのですね。」
 
私は思わず笑ってしまいました。
コンサルティングの成果が、確かに出ているようです。

「良い・悪い」を決めるのは、“基準”である


良い悪いを判断するためには『基準』が必要です。基準があるから、その品質を判断できるのです。
「このモノは大き過ぎる」、「色がくすんでいる」と、工業製品の品質の良し悪しは、その基準に照らし合わせて判断されます。それと同じなのです。
 
そしてその基準は、ただ「社長の頭の中」にあるだけでは意味がありません。その基準は「文字」にされ、「共有」された時に初めて基準になります。
文字になっていない基準は、「無い」のと同じです。共有されていない基準も、また「無い」のと同じなのです。
 
組織とは、その“基準”を共有するものです。基準を共有するから、多くの人間が一緒に働くことができるのです。そして管理者も機能することができるのです。

文字にして示すべき「つの基準」


以下のような内容を、明文化しておく必要があります。
作業基準:作業手順、納期、品質 など
態度基準:挨拶、報連相、受け答え など
役割基準:職務ごとの責任範囲、期待される行動 など
 
こう聞けば、「そんなの当然じゃないか」と思うかもしれません。
しかし、これらを
実際に文書化している会社は、驚くほど少ないのが現実です。

基準がもたらす、5つの変化


基準を明確にすると、次の変化が生まれます。
 
社長の判断が早くなる
迷いや感情によるブレが減ります。そして、悪い社員へのジャッジが早くなります。
 
「ダメ」と伝えやすくなる
すでに文章で示し読み合わせもしています。そのため、その社員に対しても「それはダメ」「直してください」と伝えやすくなります。
 
管理者が注意できるようになる
管理者にとってその基準が「後ろ盾」になります。彼らが指示や注意をする根拠になるのです。「後ろ盾」が無ければ、彼らは裸同然になります。
 
職場に自浄作用が働く
基準を守らない社員に対し、周囲が自然と注意を向けるようになります。また、場合によっては、「いじめ」が起きることもあります。それが最大の抑止力であり、自然淘汰の装置になります。
 
社長への信頼が増す
多くの社員は善良であり、気持ちよく働きたいと思っています。基準を示すこと、そして、それに沿って悪い者を正す姿勢に、社員は安心し、社長や会社に対する信頼が増すことになります。
 
その結果として、社員が社長を、そして会社を守ってくれる組織が出来上がっていくのです。会社全体が、良い方向へ回り始めます。

基準がない会社で起きる事


一方、基準のない会社では次のような現象が起きます。
・社長の判断が曖昧で遅くなる
・管理者が機能しない
・現場が荒れる
・悪い社員が居座る
・良い社員が辞めていく
・社長や会社に対する不信感がつのる
これが、基準のない組織の末路なのです。

排除すべきは「社員」ではなく、「基準のなさ」


基準とは、善悪や可否を判断する「ものさし」です。社会に法律やルールが必要なように、会社にも基準が必要です。そして、社会と同じように、上に立つ者がその基準を守らなかったり、一貫性がなかったりすれば、組織に“信頼”は生まれません。
そのような状態では、真面目に働く社員ほど損をし、「バカを見る」ことになります。
 
排除すべきは、社員ではありません。「基準がない状態」こそが、真に排除すべきものなのです。
 
まずは、すべての基準を「文字」にすることから始めましょう。
善悪、可否、評価、判断、処遇―――こうしたあらゆる基準を、曖昧なままにせず、明文化していくのです。
いまこそ、会社の土台をつくる、その作業に着手するときです。
 
 
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矢田祐二
矢田 祐二

経営実務コンサルタント
株式会社ワイズサービス・コンサルティング 代表取締役
 
理工系大学卒業後、大手ゼネコンに入社。施工管理として、工程や品質の管理、組織の運営などを専門とする。当時、組織の生産性、プロジェクト管理について研究を開始。 その後、2002年にコンサルタントとして独立し、20年間以上一貫して中小企業の経営や事業構築の支援に携わる。
 
数億事業を10億、20億事業に成長させた実績を多く持ち、 数億事業で成長が停滞した企業の経営者からは、進言の内容が明確である、行うことが論理的で無駄がないと高い評価を得ている。
 
 

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