No.256どういう時に、別会社をこすのか?特殊加工業は、いまの事業では、年商5億が限界と感じていた。

№256:どういう時に、別会社を起こすのか?特殊加工業K社は、いまの事業では、年商5億が限界と感じていた。

「矢田先生、先が見えてしまっています。」
 
特殊加工業K社は、コンサルティングのフォロー期間に移っています。
今期の着地予測は3億円、来期以降は毎期十数%の伸びを予定しています。すべてが仕組みで回っていることを実感できます。
 
しかし、K社長は言われます。
「この事業では、行けてせいぜい5億円です。このままでいいのでしょうか?」
 
この2時間後、K社長の顔は晴れていました。
「ありがとうございます。別会社を起こすために準備に入ります。」


別会社をつくる目的は、『違うことをやるため』となります。
 
「いち組織に、いち事業」が、原則です。
一つの組織は、その一つの事業を行うために存在しています。その事業を行うために、すべての仕組みも、すべての構成員も最適化を進めていきます。
 
それは、「個人が自分の人生を何に捧げるのか」と同じことです。
プロのサッカー選手は、その生活もその肉体も、すべてをそれに最適化させます。
科学者は、すべての思考、すべての読書を、その真意の追求に向かわせます。
 
社長が、いまの事業とは「違うことをやる」と決めれば、社内を事業部で割ることになります。または、別会社をつくることになります。(または、既存の事業を止めることになります。)
 
一つの会社のなかで、今の事業を継続し、同時にもう一つ行うためには、「事業部」という形で分けることになります。其々の事業に、其々の組織を準備することになります。絶対に、いち組織いち事業は、守りたいのです。
 
一つの組織で、二つの事業をやれば、大きく分散することになります。一人の人間が、サッカーでも科学でも、どちらも偉業を成せるほど甘くはありません。その会社内では、多くの集中力や効率が犠牲になることになります。そして、競合に負けることになります。
 
その二つの事業の特性が似ている場合には、『事業部』という体制で行うことができます。総合ゼネコンの建築事業部と土木事業部。システム開発事業部とエンジニア派遣事業部。ひとつの会社であることで、信頼、効率、協業、資源交流など、色々な相乗効果を得ることができます。(それでも、会社の資源が分散することには変わりはありません。)
 
 
この事業部制ではなく、別会社を立ち上げることが必要になる場合があります。それは、その事業で取り扱う『単価』が、大きく違う場合です。
土木会社の請けている工事が、「3億円」のものと、「3千万円」ものがあります。そこに必要となる技術も人員も全く異なるため、別会社にします。
エンジニア派遣でも、メーカーに恒久的に参加する派遣と、プロジェクトに短期で入るのでは『単価』の取り方が違います。別会社を検討することになります。
 
会社としては、『単価』がバラツクのが、一番困るのです。
・いちホームページを400万円で製作する会社に、10万円のホームページは、手間も見合わなければ、自分たちの信念を満たすこともできません。
・一棟1500万円の住宅会社に、1億円の大豪邸のような依頼は困るのです。次が、あるような案件ではありません。
 
それぞれの事業には、「それぞれの適正な単価があり、それぞれの儲け方がある」ということです。狙う『自社の事業の単価』を設定し、その量産を行います。その一つの単価を大量に売り、安定的に提供するために、全ての仕組みをつくります。その実行のためのスタッフを採用し、適正な報酬を払います。
 
一つの事業には、一つの組織。
一つの会社には、一つの単価となります。
自社はどれぐらいの単価が得意なのか、を明確に決める必要があります。


2年前、K社長は、典型的な「職人」社長でした。
「お客様の困りごとを解決するサービス」、「社長の高い技術と対応力が売り」、「手間の割りに儲からない」、「忙しくなると、問題が起きる」、「名ばかりの管理者」、「社員は社長のアシスタント」という、事業も仕組みも組織も、全く出来ていない状態でした。
 
この状態を脱するため、次のステージに進むために、取り組みました。その結果、仕組みで回る儲かる事業に変革することができました。多くの業務を、社員が坦々とこなす仕組みができました。日常的なイレギュラー対応や仕組みづくりを管理者が担っています。
 
ここまで来て、K社長は考えました。
1社から頂く年間金額が3千万円である。10社受注して年商3億円。十分な利益は出せ、毎年十数%は伸ばすことができる自信があります。
 
しかし、この事業で10億円を超えることは、想像ができません。市場規模から考えると、5億円がひとつの目安になると感じています。
 
そこで、矢田に相談しました。
「先が見えてしまっています。このまま進んでいいのでしょうか?」
 
矢田は、質問をしました。
「同じ業種で、年商10億円、20億円を売り上げている企業は、どんな事業をやっていますか?」
 
K社長は考えられました。「もっと大きなものを取り扱っています。そして、数が沢山はけるものです。」さすがは、K社長、すぐに理解されました。「うちもその市場に入り込まなければなりません。」
 
いままでの特殊加工では、市場が限られています。また、その単価は、粗利率は高いものの、あくまでも「加工賃」です。そのため、年商5億円で社員数30名が限界と考えられます。会社のステージを更に上げるためには、根本的に市場を変える必要があるのです。
 
飛躍するための事業の検討を行いました。顧客の規模、市場のこれからの変化、そして、得意とする単価。その結果、年商10億円、20億円となる事業を見つけることができました。そして、その事業は、いまの組織とは別で行う必要があると答えを出しました。単価が全く異なるのです。
 
「今の会社は、既存の事業で年商5億円まで粛々と伸ばしていきます。そこから得た利益を次の大きく飛躍するための事業に投資します。その事業のために別会社を立ち上げます。」
 
K社長は、ご自身の出した答えにワクワクしています。会社として大きく飛躍する道が見つけられたのです。また、自分として挑戦できる次のテーマが見つかったのです。


年商10億円を超え、20億円、30億円となるためは、年商10億円以上の経営のやり方を覚える必要があります。
 
「年商10億円の事業のつくり方」、「こなす仕組みのつくり方」、そして、「組織のつくり方」。これらを年商数億円の規模でしっかり社長が身に付けているからこそ、年商10億円、20億円が目指せるのです。
 
職人社長時代のK社長は、何も構築できるものはありませんでした。事業は職人型、仕組みらしきものは全く無し、すべてが属人的。
今は経営者として、事業も仕組みも組織のつくり方も、習得できています。それを実際に回し、成長のサイクルを回せています。
 
ここまで来て、今の事業の限界が解りました。正確に表現すれば、「ここまで来た」からこそ、その限界が解ったのです。昔の職人社長時代には、絶対に見えない世界があります。また、矢田からの「別会社をつくりましょう」という提案も、理解できなかったはずです。
 
ここまで来たからこそ、次に進むことができます。ここまでの力を持つK社長だからこそ、次のステージを狙うことができます。
 
残念ながら、多くの経営者が、この【職人社長時代】を抜け、【仕組みで儲ける事業】の段階に移行できていません。
まずは、事業モデルを構築することが必要です。そして、仕組みを整備します。そして、成長サイクルを回す組織をつくるのです。
 
この【仕組みで儲ける事業】を作れるようになると、次が見られるようになります。【10億円を超え、20億円、30億円と大きくなる事業】に進むことができます。
 
K社長は、年商5億円の「仕組みで儲ける事業」を作ることができました。残るは、大きくなる市場を見つけるだけです。事業モデルも仕組みも、その作り方は解っています。自由に動ける時間もあります。その市場を見つけるために、新たな動きをすることができます。その時には、別会社の名刺を使います。裏には、グループ会社として、特殊加工業のK株式会社が載ります。
 
多くの経営者が、この順番を守らないために、停滞することになっています。
いまの事業を【仕組みで儲ける事業】に変革できていません。事業モデルは職人型、業務は属人的、管理者は機能させられていません。
この状態で、【大きくなる事業】を夢見ています。
 
まずは、【仕組みで儲かる事業】をつくること。その事業が、10億円、20億円に育つ可能性が無くても、良いのです。
その事業で経営のやり方を身に付けます。その事業の儲けが種銭になります。その事業の実績が世の信頼になります。次のステージに進むための、基盤が得られるのです。
 
それがあるからこそ、次のステージに進むことができます。大きな市場すなわち大きな単価を得ることに、挑戦することができるのです。大きな単価にがらりと変える一手が、別会社をつくることなのです。

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