No.283顧客をリピート化できていない場合に、チェックすること。

№283:顧客をリピート化できていない場合に、チェックすること。

ネット通販会社N社長は、事業モデルの改革に取り組んでいました。
今までの「モノ」を売るだけのサイトから、顧客と「サービス」で繋がるサイトへの作り変えを進めています。
 
サイトオープンから8か月が経過し、ユーザーは300名を超えています。今月は、50件の新規を獲得しました。
 
「矢田先生、LTVが想定するよりも低いのです。」
(Life Time Value顧客生涯価値)
 
私は、顧客の売上ランキング表を確認し、言いました。
「この中に、顧客じゃない顧客が混ざっていませんか。」


事業とは、「顧客」、「サービス」、「価値」の3つの組み合わせになります。
 
どのような顧客を「顧客」とするのか。どのような「サービス」を提供するのか。その結果、どのような「価値」を実現するのか。
この3つの組み合わせで事業が成り立ちます。これを『商品』ということもあります。組み合わせこそが、特色の根源なのです。この出来が、会社の業績はもちろんのこと、社員の活躍度や事業の規模を決定付けます。
 
この3つの中の一つでも変われば、別の事業と考える必要があります。
我社の場合、「年商数億の社長に、個別コンサルティングにより、年商10億ビジネスの変革をします。」となります。この対象を「大手企業」や「起業家」に変えれば別事業になります。また、個別コンサルティングでなく、「グループコンサルティング」や「動画」で提供すれば、別事業になります。
 
顧客かサービスかのどちらかが変われば、当然、その多くを作り変えることになります。パッケージも価格も見直す必要があります。そして、マーケティングの仕組みも再構築することになります。その分だけ、会社は複雑化したと言えます。
 
多くの企業が、会社概要に記載されている事業の数よりも、多くの事業を持っています。実際は、5つも6つも事業を持つ会社も少なくありません。そんな会社では、その数ゆえに多くの問題が起きています。仕組化が進んでいません。また、並みの社員では、こなせなくなっています。どの事業も儲かっていない状態になります。そして、時間が経つほど、体力を失うことになります。
 
 
儲かる事業とは、次の組み合わせと言えます
「喜んで買ってくれる顧客」と「当社独自のサービス」。
この組み合わせが、最強です。これなら集客は楽にできます。また、値付けも自信を持ってできます。
 
この逆は、当然、厳しい事業となります。
「困っていない顧客」に「他社とそれほど変わらないサービス」。
これでは、集客に苦労するのは目に見えています。広告を打っても、リターンの率は悪くなります。他社と比べられて、値引きを要求されます。
そして、並みの社員では売れません。社長繋がりや企画や提案、対応というクリエイティヴを売ることになります。
 
事業モデルの構築において、我々のやるべきことは、次になります。
『困っている人、困っていることを探すこと。』そして『顧客が買えるサービスにすること。』となります。これによって、儲かる事業とすることができます。これが原則です。
 
そして、その一つの事業に、すべての資源を投入します。社員に、その狭い領域に全力を掛けてもらいます。広告をガンガンかけていきます。それにより、市場シェアナンバーワンを取りに行きます。
 
 
この事業を大きく展開したければ、更に二つの条件を満たす必要があります。それは、「手間の割に儲かる単価」と「クリエイティヴを失くすこと」です。「単価の割に儲かっていない」のでは、展開するほど苦しくなります。また、「クリエイティヴが必要」であれば、並みの社員ではできなくなります。
 
儲かる&大きくなる企業は、次の条件を満たしています。
「困っている顧客」に「自社の独自のサービス」を提供しています。
そのサービスは、単価と手間のバランスが良く、クリエイティヴも無くせています。そして、その強い一つの事業を展開しています。それに注力します。
 
儲からない&大きくならない企業は、下記になります。
「困っていない顧客」に「ありふれたサービス」を提供しています。
そのサービスは、手間の割に単価が低く、クリエイティヴが必要で社長や一部の優秀な社員だけが忙しい状態になっています。
そして、複数の事業を持っています。どの事業も力の入れようが中途半端で、規模も中途半端です。


冒頭のN社は、顧客を『一括り』にしていました。
私は、顧客の売上ランキング表を拝見しました。合わせて、購入金額と頻度を確認します。
 
そこで、お願いをしました。「この顧客のグループ分けは可能ですか。」
 
その分け方は、業種ではありません。規模でもありません。彼らが「どのような理由で、当社のサイトで購入しているか」になります。
 
N社長は、すぐに気づかれました。「大きくは、二つに分けられます。」
 
その一つのグループは、この『サイト』を買っています。
彼らは、このサイトの「買いやすさ」や「品揃え」から、当社のサイトを使ってくれています。そのため、頻度も金額も大きい傾向があります。そして、多くの種類を買ってくれています。その中には、粗利率の高い商品も混ざっています。
 
もう一つのグループは、『モノ』を買っています。
彼らは、このサイトから「安いモノ」を買っています。そのため、頻度は少ない割に、金額が大きい傾向があります。購入する種類は少なく、それらは当社からすると「買ってほしくない商品」です。
 
前者は、サイトの使いやすさや提案という価値で、この当社を選んでくれている人達です。それに対し、後者は、商品の価格から当社を選んでいる人達です。全く異なるのです。その結果が、売上や頻度などの数字に出ていたのです。
 
私は、この後者のことを、『顧客ではない顧客』と表現をしました。前者は、N社長の狙った通りの顧客です。後者は、N社長が切ると決めた人達です。
 
当初からその方針で動いてきました。それが、いつの間にかずれて来ていたのです。広告を掛けることで、顧客を集めるはずが、顧客でない人達を多く集めてしまっていたのです。商品の活用事例や次回購入時のクーポン券の配布など、リピート化策も大きな効果はありませんでした。
 
 
その結果、粗利率の低い商品の売上割合が高くなっていました。そして、LTV(Life Time Value顧客生涯価値)も下がっていました。そして、彼らは、また「価格」で他社に移っていたのです。
 
 
N社長は、すぐに広告に関する方針を見直しました。その成果は、すぐに出ることになります。翌月の集客数は30件に減ったものの、LTVは『通常』の値になりました。設計通りの顧客を顧客化できています。それは、N社長の狙った通りなのです。
 
顧客でない顧客を集めることに、多くの広告費を掛けていました。
顧客でない顧客を、顧客化するために、多くの手間をかけていました。
顧客でない顧客と、本当の顧客を一緒にして、売上げやLTVを管理していました。
 
そして、顧客でない顧客に、頭と心を使っていました。
 
これは、全く無駄なことなのです。
 
自社の顧客をしっかり解っていることが重要です。
そして、その顧客が「なぜ当社のサービスを使ってくれているのか」、「なぜ数多くの競合の中から当社を選んでくれているのか」を解っていることです。
この理解なしに、儲かる事業も大きな展開もあり得ないのです。
 
そして、その通り集め、その通りに顧客を満足させることです。そのために広告を打っているのです。マーケティングにより、余計な「顧客」が来ないようにしているのです。そして、その人達のためにサービスを作り変えていきます。
その設計通りに進んでいるかどうかを管理するために、ランキングやLTV、粗利率などを観るのです。
 
自社の本当の顧客は、誰ですか。
その顧客は、何を喜んで買っていますか。
 
そして、社長は、未来の構想にも手をつけます。数年後には誰が何で困っているのか。本気で考えます。
 
誰のどんな困りごとにフォーカスするのか、それだけです。

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