No.293:コロナ禍、クライアントからの相談3件。料金体系を変えたい。オンラインサロンをやりたい。営業エリアを全国に。その答えは・・・。

№293:コロナ禍、クライアントからの相談3件。料金体系を変えたい。オンラインサロンをやりたい。営業エリアを全国に。その答えは・・・。

今、何に取り掛かっていますか?
 
この状況のなかで、十分な時間を取れている社長が多くいます。
こんな時に、社長が取り組むテーマは、次の3つのうちのどれかになります。
 
1つ目は、事業をがらりと作り変える。
2つ目は、1つの業務を置き換える。
3つ目は、複数の業務を改善する。
 
自身がどのテーマに取り掛かっているのかをしっかり認識する必要があります。
そして、どれに取り掛かるにしろ、『原則』を守らなければなりません。
 
これらを言い換えれば、次のようになります。
「事業の変革」、「業務の変革」、「業務の改善」。


ここ数週間、オンラインで、クライアントからの相談に応えています。
その中の、3つの事例を紹介します。(業種や規模など変えています。)
 
A社は、店舗型のスクールビジネスを展開しています。店舗数は10あります。
毎月の月謝によって成り立っています。この状況で、売上げはほとんどありません。救いは、小さくやってきたネットビジネスが、好調なことです。
 
A社長は言われます。
「アフターコロナを見越して、サブスクリプション型の料金体系を取り入れようと考えています。いかがでしょうか?」
 
サブスクリプションという言葉の定義は云々として、ようは「月々定額制」です。毎月、何回利用しても一定額。
 
私は、例のごとく、「年商」を確認します。一店舗当たりの年商を確認すると問題なさそうです。そして、「何店舗を出すつもりか」を訊きます。さすがはA社長です。「これは、ダメですね」とすぐに気づかれました。
 
次のことを、A社長と私が共有することになります。
・一つの『当たる事業モデル』を見つけることだけでも大変。また、平常時でも難しいことを、あえてコロナ後の経済が悪くなっている時に試すことはない。
・いまの事業は時代の流れに合っている。その証拠にかなりの利益が出ていた。店舗を増やすほど、生産性をもっと高められる。
・例え、その料金体系がうまくいったとしても、事業を2つ持つことになる。
 
特に、この最後の一つが重要になります。
料金体系が全く異なれば、それは、『別事業』であることを意味します。別事業であれば、別パッケージでの店舗展開が必要になります。それは、そのまま資本(金、社員、社長の意識)の分散を意味します。
 
A社長は、すっきりした顔で言われました。
「この状況が収まったら、いまの事業をガンガン広げていきます。」


B社は、美容系の商品群を、地域の美容ショップに提供する事業を行っています。
顧客の売上げが激減しています。当然、B社も厳しい状況です。
 
そこで、『ショップ経営者向けのオンラインサロン(有料のネットグループ)』をやろうと考えました。オーナーに会員となってもらい、同じ立場の経営者としての勉強や交友ができる場を提供しようと考えました。
 
私は、確認します。「会費はいくらを考えていますか?」
B社長は、答えます。「お一人様5千円でしょうか。」
 
これが事業にならないことは明白です。オーナーを10名集めて、月に5万円です。100名でやっと50万円です。
 
矢田、「会費を1万円にすることはできますか?」
B社長の答え、「1万円分の責任は負えません。」、覚悟もないようです。
 
そして、質問が来ます。
「フロント商品と考えてはどうでしょうか?オンラインサロンに集めて、そこで商品を売っていく。」
 
私の質問の番です。「これを続けられますか?」
B社長、この案のまずさを理解されました。
 
・オンラインサロンを運営するためには膨大な手間がかかる。その割に儲からない。
・顧客を集め、サービスの提供を始めれば、続ける責任が生じる。中途半端ではかえって信頼を失う。
・沈静化した後には、また通常の業務を回さなければならない。そこにオンラインサロンの運営が乗ってくる。
・バックエンドの商品は一つ。二つあれば、やはり『別事業となる』。分散。
 
B社長は言われました。
「また、いつもの癖で新しいことを簡単に始めるところでした。今は、オーナーさんとオンラインでコミュニケーションを取ることに徹します。」


C社は、首都圏で販促物を制作する事業を行っています。期末の繁忙期を、オンラインでのやり取りで、乗り越えることができました。
 
C社長は言われます。
「オンラインで業務の全てを回すことができると解りました。これなら、営業エリアを全国に広げることができます。」
 
私はお聞きしました。「その時の、この事業の強みは何でしょうか?」
原則を解った社長は、すぐに気づかれます。「それはまずいですね。当社の密着系の良さが活かせませんね。」
 
C社は、「お客様の要望を訊き、企画提案をする」という密着型の営業で伸びてきた会社です。そのニーズを持つ企業には、圧倒的な支持を得ています。
この環境になり、オンライン、すなわち、対面をせずに乗り越えることができたのも、いままで積み上げた信頼関係があるからこそです。
 
私は、お聞きしました。「いまの御社に、関西のお客様を満足させることができますか。」
C社長、「いえ、できるはずもありません。また、それは望みません。」
そして、言われます。
「逆に、収まれば、更にこの首都圏に全国から参入があるはずです。彼らは、ネットで来ます。また、固定費の安さから低価格をぶつけてくるはずです。」
 
いまの事業モデルは、C社の戦いの軌跡ともいえます。同業者が消えていく中で、手に入れた強い事業モデルなのです。
 
C社長は言われます。
「いまの営業スタイルに、オンラインを融合することで、もっと強くなれるはずです。」


時間のある今だからこそ、しっかり考えることができます。
それは、三段階になります。
 
まずは、事業の変革の可能性を考えます。
自社のステージを上げるようなアイディアを探します。または、自問します。時代の流れを考えたときに、事業をがらりと作り変える必要があるだろうか。
 
もしイエスであれば、それに取り掛かります。
もしノーであれば、次に移ります。
 
次は業務の変革です。
1つの業務を、飛躍的に効率よくできる方法はないだろうか。初期の商談をオンラインに置き換える。物流を丸ごと外注化する。
 
イエスであれば、その実現に向けて動きます。業務が止まった今だからこそ、手を付けられるものがあります。
 
ノーであれば、業務の改善に向かいます。
いまの仕組みの中から、更に効率化できるものをリストアップします。
顧客へのアンケート機能を充実できないか。経理業務をもっと省力化できないだろうか。社員とともに、複数のことに同時に手を付けることができます。
 
この三段階で検討を進めます。
その検討は、すべてを「原則」に沿って行います。「原則」があるからこそ、ぶれることがありません。「原則」があるからこそ、正しく選ぶことができます。
 
「原則」がなければ、余計なことに手をつけることになります。時間がある時、利益が多く出たときに、間違った選択をする傾向があります。本当は事業の変革が必要なのに、業務の変革をしています。
業務の改善をするつもりで、事業を崩してしまいます。この見極めが非常に重要になるのです。
 
いま、御社には、何が必要ですか。
今、それを考える時間があります。

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