No.382:会社の停滞が起きる本当の原因とは?それは、社長に欠けている、あれ。

№382:会社の停滞が起きる本当の原因とは?それは、社長に欠けている、あれ。

M社長が相談に来られました。
この日のM社長は、いつもの覇気を身にまとっていません。完全にしぼんでしまっています。
「先生、自分はどうすればいいのでしょうか?」
 
M社は、前期、念願の年商10億円を超え、絶好調なはずです。
事情を聴くと、覇気のない理由が解りました。それは、目標を達成した後に訪れる虚脱だと考えられます。
 
私は、提言しました。
「沖縄でも行かれたらどうですか。」


経営とは、成果が出ないものを廃棄し、成果の出るものを強化する、その連続したプロセスです。
 
成果の出ない施策を廃棄し、成果の出る施策を強化します。
成果の出ない顧客を廃棄し、成果の出る顧客を強化します。
成果の出ない商品を廃棄し、成果の出る商品を強化します。
成果の出ない事業を廃棄し、成果の出る事業を強化します。
 
この時に、重要となるのは、何を自社の成果にするのかです。何を指針にするかで、成果とするものが変わってくるのです。
それを定義したものが、事業理念、すなわち、ミッションになります。
 
そして、その実現のために動きます。
この数か月、今月、何に焦点をあてるのかを決めます。それが目標です。
その目標達成までの行動を記したものが、計画になります。
実行する過程では、実行と計画の修正を繰り返していきます。
 
この一連のサイクルがあって初めて、会社は成長発展を続けることができます。変わりゆく市場や顧客の欲求に応えるために、事業を変え続けることができるのです。
 
この時、社長には、次のサイクルが必要になります。
「ミッションを考え、そして、今月の目標を決める。」
この順番です。
 
我々の会社は、何を持って社会に貢献したいのか。どのようなサービスで、世の中を変えていきたいのか。そのミッションを決めることです。
その明確なミッションから、導き出されたものが今月の目標になります。
 
間違っても、この逆で有ってはいけません。
今月の目標を先に考えてはいけません。ミッションが決まっていないのに、今月の目標を考えれば、その思考は、短絡的で、脆弱なものになります。
 
その結果、次の状態に陥ることになります。
・多角化の誘惑に勝てず、中途半端な事業を複数抱える。
・絶えず、世の情報(他社の事業、読んだ本の「斬新」な施策)に振り回される。
・捨てることが苦手。その結果、事業も社内も複雑化している。
・ころころ変わる方針により、社員の信頼を無くす。
 
ミッションを決めることです。
「当社は、〇〇の〇〇の課題を、〇〇という自社のサービスで、〇〇にします。」
この一文を決めることで、組織における多くの問題が解決することになります。それ以上に、組織に偉大な力を与えることになります。
 
 
その会社のミッションは、定期的に見直す必要があります。
数年に一度、大きく変える必要が出てきます。世の中がより良くなったおかげで、そのミッションは、自社が取り組むに値しないものになっています。
そこでは、競合がひしめき合い、価格の下落も起きています。
 
この時こそが、経営者の出番となります。いいえ、社長の出番となります。
そこには、大きな決断を伴うことになります。
通常それは、5年に一度来ることになります。
 
自社のミッションをどうするべきか。その見直しの結果によれば、今の顧客を切ることになるかもしれません。また、社員にも大きな変化を求めることになるかもしれません。
その実現は、そう簡単ではありません。
 
しかし、それに真正面から向かいます。考え抜きます。そして、決断をするのです。それこそが、社長の役目です。そうでなければ、会社の衰退が待っています。
 
この時に必要になるのが、自分のミッションです。
自分は何をしたいのか。自分は何を成し遂げたいのか。自分は、自分の人生をどのように充実させたいのか。それに向かうことになります。
それが決まっていないうちは、会社のミッションを決めることはできません。
それが見えた時に、自ずと、会社のミッションは決まってくることになります。
 
自分のミッションは、何か、真摯に考えること。
自分のミッションがあるから、決断ができるのです。


M社長は、目標である年商10億円を達成しました。
4年前に当社に来られた時には、年商3億でした。その時に、M社長は言っていました。「取り敢えず年商10億円に行きたいです。」と。
 
それを見事達成されたのです。達成を決める受注があった時には、その喜びを、矢田に電話で報告したほどです。
しかし、その後すぐに、停滞が始まったのです。
 
それは、事業の停滞ではありません。その事業は、まだ順調に売上げを伸ばしています。そして、組織も十分機能しています。
M社長が、会社に居なくても十分回っているのです。
 
ある日、M社長は、はたと気づきました。
朝起きて、天井を見ていました。
「今日は、何をやろうかなぁ」と考えていたのです。
 
昔の自分はこんなことは無かったのです。
いままでの自分は、朝、目覚めると同時に飛び起き、仕事に向かっていました。
その日やるべきことは、明確だったのです。
 
今の自分には目標が無いことに気づいてしまったのです。
どうりで、最近楽しくないはずです。
この状態が続き、矢田に相談を持ち掛けました。
「先生、どうすれば良いでしょうか?」
 
私は、お答えしました。
「沖縄にでも、数日行ってきたらどうでしょうか。」
それを聞いて、M社長は、「先生、真面目に答えてくださいよ。」(笑)と言いました。
 
矢田は大まじめです。沖縄でやるべきことをお伝えしました。
「ご自身の、次のミッションを考えてきてください。」
 
そして、一点、注意事項を伝えます。
「ホテルは、海の傍にしてくださいね。」
海は、自分の心を清めてくれます。
日常から離れ、最初の一日目は、自分の心が「ざわざわ」していることに気づくことになります。その心も、波の音と風、そして、臭いが静めてくれます。
そして、二日目には、穏やかに考えられるようになります。思うことを、紙に書いていきます。(まだパソコンはダメ)
 
すると、三日目には、何か自分の中に、力が戻ってくるのが解ります。
そして、自分のやるべきことが見えてきます。それを、文字に起こします。
この時には、まだ、確信が持てなくても良いのです。
 
帰った後は、それを心に持って生きます。時々見返すようにします。
すると、ある時に、ストンとそれが落ちる時が来ます。
 
私は、そのために、「沖縄に数日行ってきてください。それも一人で。」とお願いをしたのです。
 
 
一つのミッションに向かって頑張っている時、次のミッションを考えておく必要があります。
 
一つのミッションのゴールが近づいてくるスピードと、次のミッションのゴールは同じスピードで近づいてくるのです。
 
目の前のミッションのゴールを達成することだけを見ていては、いけません。
一つのゴールに向かっている時に、次のゴールを考えなければなりません。
より大きく、より大胆に、次のゴールを移動させ続ける必要があります。
そうでなければ、自分の中に「停滞」がやってくることになります。その停滞こそが、会社の停滞の原因なのです。
 
それを決めることは簡単ではありません。そして、それだけの時間もかかるのです。だからこそ、定期的にそれに向かっておくのです。
 
自分の成したいことは何か。
それを決めることで、自社のミッションも決まるのです。
そのミッションが、会社とその恩恵を受ける社会を、次の未来に導くことになります。

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