No.142:事業変革は静かに穏やかに進む、新たな事業の方向性を得るための手順とは

コラム№141

「根本的な事業の変革が必要だと考えています。」
 
先日、事務所に相談に来られた方の言葉です。
今現在の業績はいいものの、今後のことを考えれば、早いうちに手を付けておきたい、とのこと。
そして、言葉を続けられます。
 
「でも、何から手を付ければいいか、わかりません。正直、焦ります」


事業を大きく変革させる、その変革のために行動するには、必要なことがあります。
これが無いと実際の行動に移すことはできません。
 
それは、新たな方向性です。
新たな方向性、「行けそうだ!」と思えること、
そこに、行動が生まれます。
 
社長自身が「この方向性で進めば、行けそうだ!」と思える事業性、
そして、具体的な次のステップが見えた時に、初めて、勇気が持てます。
そして、その勇気は、自ずとその変革に向けた行動を引き出すことになります。
 
その新しい方向性が見つからないうちは、勇気が持てることはありません。
まして、その行動が伴うこともありません。
もし、この「行けそうだ!」と心の底から思えない状態で、その焦りから、何かに手を付けたとしても、そこに力強い行動が伴うことはありません。その改革の足取りは重くなります。
 
人からのアドバイスや他社の成功事例を、「丸飲み」にした時に、そのようなことになります。
そして、そんな新規事業は、多くの場合、その後会社の「お荷物」になります。
少々売上はあるものの、それに専属のスタッフも数名おり、設備投資もしたために、切れずにいます。
そして、改革のつもりで手を付けたその事業を含めて、大きな改革が必要な状態を続けることになります。
 
事業変革に踏み切れない根本的な理由は、「行けそうだ!」という新しい方向性がみつかっていないためです、
その方向性を見つけるための行動を、いまはする時なのです。


見つかった時には、心が軽くなり、足取りも軽く行動が出来る様になります。
そして、その行動は驚くほどスムーズに、新たな成果をもたらすことになります。
 
よく事業変革というと、「ものすごく苦労して」というイメージが世にはありますが、全くそんなことはありません。
それどころか、「軽く」進んでいきます。
 
その「軽さ」とは、前述した社長の気持ちの軽さもあります。それと、狙った通りの成果がでることを意味しています。
 
お手伝いをさせて頂く企業では、その新たな事業の方向性が決まると、必ずまずは社長一人で動いていただきます。
それは、『社長』自らが肌感として捉えることでしか、その事業性を確認することは無理だからです。
そして、多くの場合、その数か月以内に、「矢田先生、受注できました~」とご報告を頂くことになります。
 
私は、それには毎度のことながら本当に驚いて、「社長、すごいですね」と言うと、
多くの社長は「はい!取れましたよ」と、それが当たり前のような顔をされます。
 
事業戦略とは、「どんな商品(サービス)」を「どんな顧客」に提供するか、の組み合わせです。
その組み合わせが良ければ、すんなりと売れることになります。
社長が、その商品(サービス)の案内を、その顧客に持っていき、説明すれば、「それは、いいですね」と喜ばれ、取引が始まることになります。
その顧客が喜ぶように、その商品(サービス)をつくっているわけですから、その成果はある意味当たり前なのですが、、、あまりにも多くの社長が、契約を取ってくることに、いつも驚かされます。
 
今週も、立て続けにありました。
 
住宅関連サービスA社:新規事業で、初年度で計画していた売上が3600万円、1か月目に1500万円の受注。
 
設備設計N社(書籍に事例で載せさせて頂きました):Nマシン、3機受注!


そして、この新規事業立上げ期の段階には、お金の投資はほとんど必要ありません。
まずは、顧客のニーズがあるかどうか、市場性はあるかを確認するわけですから、提案書を作成し、社長がそれを持ってターゲットだと想定される顧客先に持っていくだけです。
そして、その反応を見て、改良を加えます。それにより、新規事業の構想を作り込んでいきます。
 
この過程で、社長は「新たな方向性」に手ごたえを感じることができます。
そして、勇気が持てて、足取りが益々軽くなります。
今までのように、自信のない商品を、売り込みに行くわけではありません。「きっと喜んで頂けるだろう」と思って行くわけですから、顧客回りも苦ではありません。
そして、そんな調査段階の訪問で、受注しちゃうわけです。
 
逆のことを言えば、この段階で受注できなければ、「事業性はない」と判断できるのです。
ですから、引き続き「新しい方向性」探しを続けることになります。
 
その会社にとって、その「新しい方向性」は、次の発展どころか生き残りをかけたものになります。
その重要なその瞬間に立ち合っているわけです。
しかし、実は、そこに、ドラマはありません(笑)
事業変革とは、実は大変静かに穏やかに進むものなのです。
 
その「新しい方向性」探しに、真剣に取り組まないと、当然徐々に業績を下げることになります。
また、突然、事業変革が必要な状態に陥ることがあります。
それは、「顧客から切られる時」です。
「客先の事業で当社の製品が必要なくなる」、「技術革新で当社の加工が必要なくなる」、「強い競合が出た」、「法律的な社会ルールが変わった」など。
 
そういう外的な要因により、自社の事業に待ったなしで、変革が迫られます。
そして、頑張って頑張って、なんとか事業変革に成功する!、、、すれば、ドラマになります。
 
しかし、実際には、その時には、何も手が付けられない状態になります。
「固定費が大きい」、「社員にやらせる仕事がない」、「毎月赤字、そのうえ、返済が重くのしかかる。」
そして、「自社で新たな市場や顧客を開拓する力はない。」
 
その結果、廃業(倒産)するか、事業規模を過去の家族経営のときに戻して生き延びるか、どちらかとなります。
そこにも、ドラマはありません。
逆転劇のような変革は、それが珍しい事例だからこそドラマになります。
 
今は、社長が必死に考えるときです。
新しい方向性が見つかった時、そのための行動をしている時にしか、社長の心が穏やかになることはありません。

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