No.193:もっと教育をしよう。会社の利益のすべてを教育に投入する。人に投資すれば年商10億も可能だ!・・・???

コラム№193

「矢田先生のご意見では、研修はまったく意味がないということでしょうか?」
 
本を読まれて当社にご相談に来られた社長からのご質問です。
いままで社員教育に沢山の費用と沢山の時間をかけてきた経緯をお聴かせいただきました。
 
矢田は、お答えさせていただきました。
「教育は必要です。そして、研修も必要です。世の中に、教育しないで使い物になる人材はいません。」


採用したばかりの社員には、まずは「訓練」が必要になります。
訓練とは、「決まったことを決まった通りに出来る状態」にすることです。
それにより、その社員をいち早く戦力とすることができます。そして、本人も居場所をいち早く得ることができます。
 
そして、ある業務が型通り出来るようになると、目的や状況から考えて応用できるようにさせます。現場の状況から判断する、お客様に合わせ対応ができるなどの、判断することを業務にいれてきます。その時には、その業務の目的や会社としての方針を伝えることが必要になります。また、それを習得するためには、経験する期間が必要となります。
 
そして、その段階に入ると、徐々に「教育」が始まります。
教育とは、一言で表現すれば、「仕組みを変えられる」ようになることです。
自分の受け持ちの業務の改善ができる、展示会の企画書を作成する、マニュアルの改定をする、管理表をもっと使い勝手が良いようにする、など。
 
訓練とは、いままで会社が培ったノウハウを踏襲することです。誰かが作成した管理表に入力する、誰かが作成したマニュアルの通りできるようになる、「過去」を引き継ぐことが訓練なのです。
 
それに対し、教育とは、そのノウハウを変えることにあります。踏襲の逆の言葉である「打破」、「改革」となります。過去のものは必ず使えなくなります。また会社として成長していきます。だから変えることが必要になります。会社には、「未来」をつくる人材が必要なのです。この力を持った社員を育てることを「教育」と言います。
 
 
訓練を提供するためには、まずは『仕組み』が必要になります。踏襲できる形になっていることが前提です。管理表がある、業務フローで流れが見える、マニュアルに手順や勘所が載っている、など、その仕組みが有るからこそ、訓練ができます。
仕組みがなければ、訓練はできません。やりたくてもやりようがないのです。
その結果、採用した社員を早期に戦力化できません。本人も居心地が悪いままです。
ですから、仕組みの整備が必要なのです。仕組みの整備をしないままに、「何かを教える」ことは、大きな不効率を生むことは容易に想像がつきます。
 
そして、教育するためにも、仕組みが必要になります。
もっと楽にやる方法はないのだろうか、もっとお客様に喜んでもらうにはどうしたら良いのだろうか、を考え、目の前にある仕組みを変えることに取り組んでもらいます。
まずは、目の前に見える必要があるのです。そもそもの仕組みが無く、向かうべきものが無い状態では、教育もやりようがありません。
教育も仕組みがあることが前提となります。
 
「〇〇の仕組みが無いから、その仕組みを作ってくれ」という依頼は、レベルが高すぎます。ゼロベースから仕組みを作れる人材は、世の中にそうはいません。
ましてや、見本となるべき社長や上司も仕組みづくりが出来ていないのです。
「今ある〇〇の仕組みを直してくれ。」となると、こなせる人材は、急に増えます。今ある管理表やマニュアルを直すことは、そこそこの社員でもできることです。
 
まずは管理表を直すというレベルの改善業務を与えます。まだヨチヨチ歩きです、アドバイスと褒めることも必要になります。
そして、次には、やや難しい業務フローの改善を依頼します。関係部門との話し合いも必要です。
そして、次には、在庫管理の仕組みの根本的な作り変えを依頼します。業者に意見を訊くことや自分で書籍を読むなどして、企画書をまとめます。そして、社長に提案します。そして、全社と業者をチームとしてまとめ、実現します。
ここまでくると本当の管理者です。
ここまで来るのに、数年どころか10年以上を必要とします。
 
我々は、管理表の改善レベルのミッションを与えることから始め、徐々にそのレベルを上げていきます。その社員が頑張らなければならないレベルのミッションを与え、そして、サポートをします。簡単すぎても、難しすぎてもいけません。それによって、採用した社員が管理者まで成長する手伝いをします。
 
その機会を会社として適宜与えます。これが教育なのです。
教育は大事、教育に力を入れていると謳いながら、全くその取組みが出来ていない会社は多くあります。その社員に適当で具体的なミッションも与えず、毎日作業を繰り返しさせています。それで管理者としての芽が出るはずがありません。
 
この採用した人を、管理者に引き上げるまでの流れを体系化したものが、訓練制度であり、教育方針となります。管理者を量産する仕組みです。
会社が大きくなる過程で、絶対的に不足するのが、人材であり、管理者です。
その規模を見越し、今この仕組みを仕込んでおくのです。この仕組みは、一朝一夕でできるものではありません。
社員数100名、200名という規模で、管理者の不足で身動き出来なくなっている会社は多くあります。その会社では、役職者が作業をバリバリこなしています。
十数名の規模で、管理者の不足という課題が出ます。その基盤となる仕組みとそのサイクルは回しておきたいのです。


教育は、優秀な人を優先することになります。
それは、今後益々活躍をしてほしいからです。今後、益々大きな役目を担ってほしいからです。大きなミッションを依頼したいのです。
教育をするためには、ミッションを『具体的』に与えることが必要です。
・在庫の管理表を見直してくれ。
・在庫数がリアルタイムで解るような仕組みを考えてくれ。
その具体的なミッションは、経営計画の中に記載されることになります。
 
そして、研修も優先順位があります。
この先の我社の中核を担う潜在能力を持った人材に提供します。また、大きなミッションを持った管理者を優先します。
その研修のテーマは、自分に与えられたミッションに直結です。
・大規模倉庫の管理実務のセミナーを受講する。
・最新のロジスティクシステムの視察会に参加する。
その受講したものをヒントに、改善案を作成します。そして、社長に提案し、構想をまとめていきます。
 
研修は、優秀な社員に提供する。
研修は、役職が上位なものほど多くなる。
研修は、自分のミッションに直結するテーマに行かせる。
研修は、アウトプットを前提とする。
だから研修は、有効なものとなります。
だから研修は、費用対効果が高いものとなります。
本人も、本気で参加します。
そして、その人がローテーションや退職で居なくなったとしても、仕組みは進化しています。次の人に踏襲するものは残され、未来は作り変えられるのです。
 
これの逆をやってはいけません。
研修は、ダメな社員を優先する。
研修は、役職が低い、基本ができていない人に行かせる。
研修は、マナーや報連相などの一般的なテーマとしたものに行かせる。
研修後に求められているものは特にない。感想文ぐらいである。
よって、研修は思ったほど効果はありません。研修から戻ってきた社員は、翌日はやる気を出して業務をしますが、3日後には元に戻ります。
そして、その人が辞めると何も残っていません。後進に残せるものはなく、未来は何も変わっていません。あるのは、また採用し育てるというサイクルが待っているという現実だけです。
 
「できない」ことを理由に社員を研修に行かせないでください。
「できる」ことを理由に研修に行かせる人選をしてください。
「できない」ことを補強するのは訓練です。訓練で当たり前のことが当たり前にできるようにするのです。
「できる」人を伸ばすのが教育です。


優秀な社員や役職の高い管理者のみに、研修を提供します。
それにより、高い費用対効果が得られます。彼らは、研修を「ご褒美」だと受け取り、感謝をします。そして、何かを作り変えてくれます。
 
ダメな人や役職の低い社員を研修に行かせるのは間違いです。
彼らは、研修に嫌々参加します。研修会場でも、だらしが無いオーラを出して他の参加者や講師に迷惑をかけています。
 
世の中に良い研修も、悪い研修もありません。
あるのは、正しい運用と、間違った運用があるだけです。
正しい運用をする会社にとっては、すべての研修が良いものとなります。
間違った運用をする会社にとっては、すべての研修が悪いものとなります。
 
仕組みづくりに向かうこと、そのうえで訓練制度をつくること。
経営計画によって、管理者に仕組みの改善を依頼し、そのサイクルを回すこと。
この構築を急ぐことです。会社の利益のすべてをこれに投じるのです。

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