No.194:昨年対比10%、20%の伸び・・・? 年商数億の事業が、年商10億に成るとき、売上はどう推移するか。

コラム№194

矢田先生、一見すると今までの事業と全く変わっていません。社員のやっている事は、いままでの毎日と何ら変わりがありません。
しかし、自分の中では、何かが明確に違うという不思議な感覚です。
おそらく社外の人が見たら、何が新規事業なのか?変わらないじゃないか?と言われそうな気がします。
ただ、だからこそすごくいいと感じています。
 
休日の朝、コーヒーカップを持ち、書斎に移りPCを立ち上げます。
N社長からメールが来ています。
このメールで、ご機嫌な一日が約束されました。
「おお、見つけられましたね」


ビジネスの形で、そのビジネスの「どのぐらい」かが、解ります。
どこを市場にするか、誰をターゲットにするか、そのビジネスを立ち上げた時に、ある程度「どのぐらい」が決まります。
・どのぐらいの年商になるのか。正確には、どのぐらいが適正な年商か。
・どのぐらいの粗利率がとれるのか。
・どのぐらいの社員数が適正か。一人当たりの儲けはいくらぐらいなのか。
・どれぐらいのスピードで拡大ができるのか。どれぐらいのスピードでの拡大が必要になるのか。
・採用した社員を戦力化するのに、どれぐらいの期間が必要なのか。
そこには、法則性とも言えるものがあります。
 
そこから、3点のことが検討できます。
1つ目は、社長が狙う年商に行けるビジネスモデルになっているのか。
年商10億、20億、100億に行きたい、でも、そのようなビジネスモデルになっていないのであれば、根本的にそれを直すことを考えます。
その狙う年商になる条件を満たした事業に変革する必要があります。
 
2つ目は、その事業は、まだ伸びる余地があるのか、ないのか。
本来なら2億まで行けるはずの事業でも、現状1億2千万で停滞していることがあります。その時には、何かが間違っており、改良の余地があると判断できます。その問題点を消し去ることで、とりあえず2億までは行けます。
 
3つ目は、同業他社と比べ、どれか異常値がないか。
ビジネスモデルが似ていれば、粗利率や一人当たりの稼ぎなどの数字は、ある程度に似てきます。しかし、その中に、異常値があることがあります。
商社でありながら、粗利率が25%と高い。製造業でありながら、社員一人当たり1300万稼ぐ。これらは、何かその事業構造に特異性があることを意味します。何か付加価値の高いサービスを提供している、何か生産効率を高めるものがある。それを調べ、自社の強みとします。それにより、同業他社より明らかに優位に立つことができます。その1点だけで十分に差別化できます。
 
 
私は、これから起業する方や新規事業を立ちあげる企業に対して、「最初から大きくなるビジネスを考えてください。」とお伝えしています。
そして、年商数億の社長には、年商10億への変革に取り組んでくださいとお伝えしています。
社長として、どれぐらいの規模を目指すのか、それがそのまま成長のスピードに反映されることになります。
 
現状が年商2億であり、創業からこれまで10年かかりました。
これからの一年も10%アップと考えると2億2千万になります。そして、翌年には2億4千万。現状の延長で考えるとこうなってしまいます。
 
年商10億、その逆算から考えることが必要です。1年目で1億、2年目は2億、3年目で3億。年商10億で考えた時には、この増え方が「当たり前」に思えます。この考え方でビジネスを考える必要があります。
「今の10%」で考えてはいけません、「年商10億からの10%」なのです。
この条件を満たすビジネスに作り変えるのです。
 
多くの会社では、経営計画の目標に「年商10億!」と書いています。
しかし、その「年商10億」は妄想でしかありません。
今現在のビジネスモデルは、到底到達できない造りになっています。「単価が小さすぎる」、「モノを売っている」、「社員が提供できない」など、必要な条件が揃っていないのです。今のビジネスの延長に、年商10億は無いのです。
 
 
年商数億の事業を、毎年10%、20%と売上げを増やすことを考えてはいけません。いま考えなければいけないのは、事業の作り替えなのです。
年商10億に育つ事業への変革が必要となります。
今の年商2億を売り上げている事業とは、全く違う事業を立ち上げるという意識が必要です。正確に表現すれば、「既存の事業を元(資本)にして、年商10億に育つ事業を創り上げる」となります。
 
年商の内訳は下記のようになります。
-------------- 一年目 二年目 三年目 四年目 五年目 六年目
いま現在の事業 2億  2億  2億  2億  1億  0億
変革された事業 0億  1億  2億  3億  4億  6億
合算の推移を見ると2億、3億、4億、5億、5億、6億というものになります。
この変革が必要なのです。
 
売上げを増やすことを考えてはいけません。
売上げを、替えるのです。ガサッと丸ごと新しいものに替えてしまうのです。
その「新しい売上げ」が伸びてくるのを確認できた時に、「古い売上げ」は捨てることをします。
 
売上げは増やすのではありません。売上げを替えるのです。


事業の成否は、どこを「市場」とするかによって決まってきます。
その「市場」には、必ず「お金を払う顧客」が必要です。
お金を払う顧客がいない市場や、値下げ合戦に陥っている市場にいてはいけません。そして、小さすぎる市場も大きすぎる市場もいけません。
 
市場とは、「価値」という言葉で置き換えることができます。
ある価値を提供する会社として、広く認識されたときに、それは「ブランド」となります。
 
・ケルヒャーというブランドがあります。
ホームセンターで売っている黄色いボディの高圧洗浄機です。個人向けだけではなく、業務用もあります。
・スープストック東京という飲食店があります。
駅ナカやショッピングモールにあります。一人での軽い昼食にもってこいです。
・サイボウズというグループウェアがあります。
スケジュールやメール、ファイル保管、一様の機能は揃っています。
 
これらを聞けば、我々はイメージを頭に描いてしまいます。
掃除機器の会社、スープの器とパン、会社で使うシステム。このイメージが市場であり、価値なのです。これがブランドです。
 
この市場での認識を作り、強化したいのです。
ある人たちに、「〇〇と言えば□□という」という認識を植え込みたいのです。その人たちは、そのイメージを反射的に頭に描いてしまいます。
 
・〇〇を集めるホームページと言えば□□
・〇〇の専門設備と言えば□□
・〇〇の申請に強い行政書士事務所と言えば□□
・〇〇のマッチングサイトと言えば□□
 
このために、我々は日々考え続けます。
このサービスを望んでいる人がいるだろうか、この価格設定で良いのだろうか。
これを見つけられたときに、その会社は新しい歩みを始めます。
見つけられたら、その認識を拡げるために、宣伝広告を仕掛けます。
そして、さらなる認識の強化のために、次の商品をその市場に投入します。
他社の参入を許さないために、サービスをどんどん改良します。
 
モノという単品で考えてはいけません。
ある「価値」のなかで「モノ」を投入するのです。
高圧洗浄機という市場のなかに、新しい機器やメンテナンスサービスを投入するのです。そして、占有を狙います。
 
「価値」をお買い上げいただいた時に、顧客とはその「価値」で繋がることになります。そこに属人性はありません。顧客は社長や一部の優秀な社員を指名することもありません。あくまでもその「価値」を買っているのです。
 
そして、そのブランドに魅かれ、一緒にそれを育てたいという人が集まってきます。今までのような、「何となく」という人ではなく、その分野を勉強したいという人が採用できるようになります。
 
 
冒頭のN社長は、ついに市場を見つけることができました。
ある人達に、〇〇と言えば□□という認識をさせる「市場」、「価値」を発見しました。
これは明らかに新規事業です。
 
当然、この発見したものが、すんなり上手くいくことはありません。
これからが、やっとスタートです。これから、本当の四苦八苦が始まります。
しかし、N社長の目から見える景色は変わっています。
 
そこで働くスタッフの動きは変わっていません。
そこにある棚も、発送を待つ商品も全く変わっていません。
しかし、社長の目には、替わって見えています。
 
これから入ってくるだろう売り上げたお金も、替わって見えてきます。
銀行通帳を見れば、1つの数字が浮き上がって見えます。いままでの「モノ」の売上げの多くのなかに、全く違う意味を持った数字があります。
それは、「価値」を売って得たお金です。
これから、数年後には、すべての数字が「価値」を売って得たものになります。
 
社長は、「価値」を売ることで初めて平安を得ることができます。そして、自信を持てるようになります。
それは、幹部や社員も一緒です。働く人にも、安心と自信を持たせます。そして、それが愛社精神や誇りにまでなってきます。
 
「モノを売っている」、「人間づきあいで選ばれている」、「価格で比べられる」うちは、安心も自信も得ることはできません。愛社精神も誇りも生まれません。
そこには、モノを扱う作業員がいるだけです。
 
市場を替えることができた時、社長と社員の心をも替えることができます。
市場に強く認められた時に、初めてビジネスが楽しくなります。
その第一歩は、社長の考え方を替えることとなります。

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