No.552:伸び切らない会社はここをチェック──成長の鍵は「製販分離」にある

№552:伸び切らない会社はここをチェック──成長の鍵は「製販分離」にある

「どうも、いまいち伸び切らないのです」
マーケティング支援事業を展開するK社長は、そんな言葉で話し始めました。
 
売上は安定しており、リピート率も悪くない。それなりに回っている。
けれど──もっと行けるはずなのに、頭を突き抜けない。
 
K社が仕組化に取り組み始めて1年半。社長は現場を完全に離れ、経営に専念できている状態になっています。
 
私はお尋ねしました。
「今月の数字目標を教えてください。」

アクセルとブレーキを同じ人が握ってはいけない


年商数億の会社が最初に取り組むべきは『製販分離』です。
営業と製造の両方を同じ人が担っていると、成長は確実に鈍ります。それどころか、止まってしまいます。
 
仕事が減ると営業を始める、仕事が増えると製造に向かい営業を止める。
そして、また仕事が減ると営業に…
 
これが「アクセルとブレーキを同じ人が担う」と起きる現象です。結果として、ある規模を越えることができなくなります。その同じ人とは社長であっても、社員であっても同じことです。
 
まずは「製販分離」、これが成長のための第一歩になります。

営業とは“後工程に対して無責任”でいい


営業とは、ある意味「後工程に対して無責任」であるからこそできる仕事です。だから思いっきりアクセルを踏めるのです。
「この案件を受けてしまったら製造が回らないのでは…」と考えてしまうと営業担当者は、攻めることができなくなります。自然とブレーキを掛けることになります。
 
だからこそ、営業と製造は完全に分けなければなりません。
 
営業は「売る」ことに集中し、製造は「対応する仕組み」を必死につくる──この状態こそが、会社の成長スピードを何倍にも引き上げることになります。

「数字目標を持たせる」ことで分業は機能する


分業を機能させるには、それぞれに明確な数値目標を持たせることが不可欠です。
・マーケティングには「集客件数」
・営業には「成約率」
・製造には「QCD(品質・コスト・納期)」の改善
 
それぞれに目標を課すことで、彼らを「追い込む」ことができます。
各部署がそれぞれの数値目標を達成するために「ヒイヒイ」言っている、その状態にするからスピードある成長が可能になるのです。
 
これが基本的な分業の考え方となります。

「売上」ではなく「件数」で考える


仕組化が完了し、本格的な展開フェーズに入ったとき──最も重要になるのが「集客件数の目標」です。
 
私はK社長に尋ねました。
「今月の数字目標は何ですか?」
K社長は「売上1000万円です。」と答えました。
 
それに私は質問をかぶせます。
「それは案件にすると何件ですか? そして、そのためには何件の集客が必要ですか?」
 
成約率から考えK社長は「月20件の集客が必要です」と言葉を出しました。
頭脳明晰なK社長です、すぐに気づかれました。
「20件の集客、これこそが今のうちの会社のセンターピンですね。」
 
この集客件数を達成すれば、売上を大きく伸ばすことができます。
逆に今の集客件数のままであれば、売上が伸びることはありません。

思い切った集客件数の目標を持て


売上よりも大事なのが「集客件数」なのです。特に展開フェーズに入った会社に必要なのは、具体的な思い切った集客件数の目標なのです。
 
当たり前のことのように聞こえるかもしれません。しかし、これが本当にできていないのです。集客件数の目標を持っていない、または、思い切った件数目標になっていない、さらに言えば、それが重点目標でありセンターピンであるという認識を持っていないのです。
 
その時、K社長は、ふとこう漏らしました。
「製作の方が間に合わないかもしれません。」
 
それでいいのです。むしろ、そうでなければならないのです。
受注が先にあるからこそ、製作側は生産能力を本気で高めようと考えます。社長自身も本気で人や外注業者を増やしたり、仕組みを整備したりと動くのです。「製作体制(能力)が整ってから」では、一生それは実現しないのです。
順番を間違えてはいけません。
 
ヒイヒイ言っている状態にする、それに追われるように社長も社員も動く。だからスピードある成長ができるのです。その起点となるのが『集客』なのです。

提言:「集客件数」こそがセンターピンである


会社が「伸び切らない」と感じるとき、多くの社長は「営業力が弱いのでは」「もっと人を入れた方がいいのでは」と考えがちです。
 
まずチェックすべきは、しっかり「製販分離」が出来ているか、です。
そして、集客件数という具体目標をセンターピンに据えているか、 です。
 
会社の成長とは、「受注の総量」を増やすことに他なりません。
受注の総量を増やすには、「集客数」という燃料が必要なのです。
その燃料が不足している会社に、売上の伸びなど起こり得ないのです。
 
ヒイヒイ言いながら成長する──それが正しい成長の姿。
営業が売り、製造が追いつこうとし、全員が「前に倒れる」くらいのスピードで進む。
その起点となるのが、「具体的な集客件数目標」なのです。
 
思い切った野心的な「集客件数」を掲げてください。
 
 
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矢田祐二
矢田 祐二

経営実務コンサルタント
株式会社ワイズサービス・コンサルティング 代表取締役
 
理工系大学卒業後、大手ゼネコンに入社。施工管理として、工程や品質の管理、組織の運営などを専門とする。当時、組織の生産性、プロジェクト管理について研究を開始。 その後、2002年にコンサルタントとして独立し、20年間以上一貫して中小企業の経営や事業構築の支援に携わる。
 
数億事業を10億、20億事業に成長させた実績を多く持ち、 数億事業で成長が停滞した企業の経営者からは、進言の内容が明確である、行うことが論理的で無駄がないと高い評価を得ている。
 
 

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