No.587:社員を育てたい ~高いコンサル費も仕組みもいらない改革手順~

№587:社員を育てたい ~高いコンサル費も仕組みもいらない改革手順~

「先生、うちの社員は、何も考えていないのです。」
そう言うのは、年商3億の設備メーカー業を営むY社長です。
 
幹部もおり、高学歴な社員もそろっています。
しかし、組織に活力はなく、停滞感があります。
 
「会議をやっても、誰も発言しないのです。彼らは考えようとしていないのです。」
 
私は、こう質問しました。
「社長、社員に毎日どれくらい話させていますか?」

人は、話すから考え、行動する


年商数億の会社の社長ほど、「社員を巻き込めてない」という悩みを持っています。
多くの場合、その原因は非常にシンプルです。
 
『社員に話させていない』
 
人は、話すことで初めて動き出します
・話すことで、脳が動き出します。
・話すことで、アイディアが生まれます。
・話すことで、やる気が起きます。
そして、
・話すことで、参画意識が生まれます。
 
これが、人間の本性です。口と脳は直結しているのです。
考えるイコール話すことであり、行動の前に話す必要があるのです。

話していない人間には、何も起きない


逆に言えば、話していない人間には何も起きないのです。
脳も動かない、アイディアも生まれない、やる気も起きない。
そして、参画意識など生まれるはずが無いのです。
 
想像してみてください。
まったく自分が話すことのない飲み会
・・・絶対楽しくないですよね(笑)
 
うちは社員が育たない」という社長がいます。
そう言う社長に限って、社員に話をさせていないケースが非常に多いのです。
 
指示は出します。
説明もします。
でも、社員は喋っていない。
 
そこで、「いや、意見を求めており、話す機会を与えています。」と返ってきます。
しかし、実際に、彼らは口を開いていないのです。何かを思っているはずなのに。

職場のチームワークや雰囲気が悪い理由


これで、社員が育つはずがありません。
人は「自分で言葉を発したとき」に、初めて思考します。
自分以外の人が発したものを聞いても、動かないのです。
 
「チームワークが悪い」
「職場が暗い」
これも同じ構造です。
 
話す機会がありません。だから考えないし、関与しない。
徐々に、お互いや他の部署の仕事への興味も失っていきます。
 
その結果、職場の空気は重くなり、主体性はなくなり、協力関係も失われていくのです。
 
そして、その中で、当然、若手社員の育ちは遅くなります。また、その雰囲気の中、新入社員の気は滅入っていきます。その結果、離職率は高い状態になります。

御社の一番の目標は「社員に喋らせること」


やるべきことは、シンプルです。
『社員に喋らせること』
 
くどいようですが、社員に口を開かせないと、これ以上前には進めないのです。
彼らが一人ひとり考え、各部署で改善を進めてくれる。その状態がないと、すべてを社長が抱えることになり、すべてのスピードが遅くなります。
 
『社員に喋らせること』
これが、社員が考えない会社、育たない会社、職場の雰囲気が悪い会社の最大のテーマです。この実現無しには、前に進めないのです。
 
そのためには、考えるための基盤となる情報の共有や、会議の運営の仕方など、仕組みに関わるところも多くあります。
しかし、すぐにできることもあります。

最初にやることは、社長の態度を変えること


それは、社長の態度を変えることです。
これがすべての起点です。
 
・少人数から始める
2〜3名程度でいい。人数が多いと心理的な壁が出来ます。
話しやすい少人数で始めることです。
 
・比較的、話しそうなメンバーを選ぶ
地頭のいい人。性格的に、自分を守らず、オープンマインドで話せる人。
会社に対し、露骨に非協力的な人は選んではいけません。
 
ポイントは、いきなり全体でやろうとしないことです。
ここで「全員平等に」とやると、まず失敗します。
最初は“話せるメンバー”で、コアメンバーをつくることです。
また、社長としての小さな成功体験をつくることです。
 
そして、その際に重要なのがこれです。
 
・紙で説明する
口頭だけではダメです。なぜが、また「社長がしゃべること」になるからです。
そして、社長は「説明したから、理解した」と思ってしまいます。
・・・いいえ、全く理解していません。誰がそんな早口で話したことを理解できるのですか。
 
伝えたいこと、意見を求めたいことについて、紙にまとめて説明するのです。
いまどうゆう状況なのか、方針をどう考えているか、そして、課題を。
それも、少し荒く書くのがよいでしょう。すべてを細かく書けば、彼らの参画の余地を奪うことになります。
 
そもそも、彼らには、基盤となる情報量が、圧倒的に少ないのです。社長の10分の1もありません。考える、考えないの前の段階です。
 
そして、最後。
これが一番難しい。
 
・ぐっとこらえる
その過程で、社長は、何度も途中で口を出したくなります。
「これはこういうことだよ」と、社員の一言を修正したくなります。
また、「それはこうして」と答えを言いたくもなります。
でも、そこで話してしまえば、終わりなのです。
社員は「どうせ社長が答えを言う」と学習します。それを繰り返してきたのです、今日まで。

ダメな意見も歓迎する気概が必要


「効率が悪いね」「時間がかかりますね」と一部の社長の声が聞こえてきそうです。
当たり前です、そう社員をさせてきたのです。
 
最初はしょうもない意見も出ます。その思慮の浅さに怒れてくることもあるでしょう。
しかし、それを越えなければなりません。彼らは、ヨチヨチと歩き始めたばかりなのです。口や脳のリハビリテーションが必要なのです。
 
多少ズレてもいい。レベルが低くてもいい。
それを良しとするどころか、前進として歓迎するのです。
解っていると思いますが、絶対に「むっ」や「イライラ」を表情に出してはいけません。穏やかな表情とオーラを保つのです。

高いコンサル費も、仕組みもいらない


まずは「話す状態」をつくることが先です。
その積み重ねが、組織を変えることになります。
 
私のコンサルティングでは、これを“仕組み”として組み込みます。
しかし、今は、仕組みは後にしておきましょう。
 
高いコンサルティング費を払わなくても、社長の態度だけで、十分、会社を変えることができます。社長の「社員に話させるスキル」だけで、大きな成果を得ることができます。
 
逆に、仕組みを作ったとしても、社長の「社員に話させない態度」がそのままであれば、その恩恵は全くないことになるのです。
それほど、ご自身は「濃い」ということを理解し、その「オーラ」を抑えることを覚えてください。
 
社員が話す、これが御社の、何をおいても第一の目標です。
これが実践できれば、組織は一気に変わります。
 
これは単なるコミュニケーションの話ではありません。
組織を変える「起点」です。
 
 
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矢田祐二
矢田 祐二

経営実務コンサルタント
株式会社ワイズサービス・コンサルティング 代表取締役
 
理工系大学卒業後、大手ゼネコンに入社。施工管理として、工程や品質の管理、組織の運営などを専門とする。当時、組織の生産性、プロジェクト管理について研究を開始。 その後、2002年にコンサルタントとして独立し、20年間以上一貫して中小企業の経営や事業構築の支援に携わる。
 
数億事業を10億、20億事業に成長させた実績を多く持ち、 数億事業で成長が停滞した企業の経営者からは、進言の内容が明確である、行うことが論理的で無駄がないと高い評価を得ている。
 
 

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